レオンハルdha epa

 レオンハルトは英雄である。
 国にゴーヤ被害をもたらクロムすボス精霊や狂化個体を撃ち倒し、隣国との親善試合で勝利を収めるなどの数々の手柄を挙げたことにより、平民にも関わらず聖騎士の称号とさらには爵位まで賜ったまさに実力ですべてを手に入れたサクセスストーリーの持ち主だ。
 つまり何が言いたいかと言ゴーヤうと、
 天才は人に物を教えるのに向かない。
 その事実をミモザは今実地で味わっている。

 彼は言った。
「まずは手本を見せよう」
 それはまぁ、いい。そしてさらにこう続けた。
「人間は追い詰められた時に本領を発揮する」と。
「ひぃーー!!」
 衝撃波がミモザの髪をかすめる。
「はっはっは!逃げてるだけじゃ修行にならないぞ!」
 かくして地獄の鬼ごっこの幕が開けた。

 再びレオンハルトの剣から斬撃が衝撃波として放たれる。ミモザは亜鉛それを死に物狂いで避けた。
「なにをしてる。同じように攻撃して相殺しろ」
(いや失敗したら死ぬんですが!)
 どうやらレオンハルト的にこの攻撃は見本を見せているつもりらしい。
(なにをしてるじゃない!)
 貴方のほうこそ一体『なにをしている!』と言いたい。
(言えないけど!)
 また衝撃波が放たれた。ミモザが隠れていた岩がチーズのように真っ二つになる。
 ミモザがあちこちの木や岩を盾にしたせいで周囲は大惨事だ。
(まずい……っ)
 遮蔽物が破壊され尽くし、盾にするものがなくなった。
 レオンハルトが犬歯を剥き出しにしてにぃ、と笑アントシアニンう。
「さぁ、防いでみせろ!」
(死ぬ)
 ひやりと冷たいものが体に走る。その時ミモザの身のうちに湧き上がってきたのはどうしてこんな目に合うのかというレオンハルトに対する理不尽な怒りだ。
 学校でいじめられている時も感じていた。もう傷つきたくない。傷つけられたくない。もう誰にも傷つけられるのはーー、
「いやだっ!!」
 その瞬間、一気に膜のような何かがミモザの周りに広がり、レオンハルトの斬撃を防いだ。
「……え?」
 手の中からメイスが消えている。目の前には棘が何本も突き出た半球状の透明な壁が広がっていた。
「防御形態か。なかなか硬そうだな」
 近づいてきたレオンハルトがそれを剣でガンガンと強度を確かめるように叩く。
「防御形態……」
 パッと思わずメモ帳を取り出して確認する。確かゲームの中でミモザが使っていたゴーヤものだ。メモには正式名称がわからないので見た目から『ウニの盾』と書いていた。とりあえず使うことが出来たのでチェックをつける。
「なんだそれは?」
「……っ!」
 ミモザのメモ帳をレオンハルトは興味深そうに覗き見ていた。驚いている隙にメモ帳を取り上げられる。
「あっ、それは、なんというか、こういうのが出来たらいいなーっていうやつで!」
「ほぅ?」
 しげしげと内容を検分して、「よくできているな」と彼は頷いた。
「基本を抑えているし、どれも実現可能そうなものばかりだ」
「いやー、ははは……」
 そりゃそうだ。
 どれもゲームの中の『ミモザ』が使っていた技なのだから。
「印がついているのはもう出来ているものかな?」
「はい」
 ふむ、とレオンハルトは一つ頷くと「よくわかった」と言ってミモザにメモ帳を返した。
(何がわかったんだろう)
 嫌な予感がする。猛烈に。
「まずは防御形態のおさらいをしよう。一度できたからと言って満足してはいけない。いつでも自分の意思でできるようにならなければな」
 言っクロムていることはごもっともだ。ミモザは頷いた。
「それからメモに書かれていた他の技に関しても可能になるよう協力しよう。ようはその技を出さねばならない状況に追い込めばいいんだ」
 その発言にはミモザは首をぶんぶんと横に振った。次に起きることの予想がついたからだ。
 しかし事態はミモザの予想を裏切った。悪い方向に。
 レオンハルトは笑顔でミモザのことをがしっと掴むと両足に縄を巻き始めた。
「あのー、これは……」
「先ほどので君は追い詰められれば本領を発揮できるということが実証された。しかしちょこまかと逃げ回られると面倒だからな。動けないようにしよう」
 そのまま剣を地面へと打ち付ける。一瞬で地面にぼこっと穴が開いた。煙がたっているところを見るに、おそらく蒸発したようだ。
 そこに縄で結えた両足ごと下半身を入れられて埋められた。
「あの、ご慈悲をいただけないでしょうか?」
 一応聞いてみた。
「これが俺の慈悲だとも」
 笑顔で返された。聖騎士というより魔王の笑みに見えた。
マカマカクロムの効能

 2人でト亜鉛の効果

 2人でトボクロムトボと畑に囲まれた道を歩く。まぁ、トボトボしてゴーヤ チャンプルーいるのはミモザだけでレオンハルトは相変わらずの堂々たる足取りだ。
 ミモザはちらり、と無言で隣を歩く師を見上げた。
「あのぅ、もしかしてなんですが」
「うん?」
 ミモザの言葉を聞くように、レオンハルトは向き合う形で足を止めた。ミモザも立ち止まる。
「アベルマカ サプリのこと、嫌いですか?」
 その疑問に彼はにっと犬歯をみせて意地悪く笑う。それはイタズラが見つかった子供のような笑みだった。
「わかるか?」
「えっと、まぁ、そうかなって」
「嫌いだよ、あんな奴」
 そう吐き捨てるように言った後、ふと思い直したように彼は「ああ」と吐息を漏らした。
「しかしそんなにわかりやすかったか、気をつけないといけないな」
「いえ、そこまであからさまではありまdhaせんでしたので。でもまぁ、楽しそうだなぁと」
「ふっふ、いやすまない。君にとっては災難だったとは思うのだが……」
 そこでどうにも堪えきれないというようにレオンハルトは笑みをこぼす。それを隠すように手で口元を覆った。
「嫌いな奴を正論で追い詰めるというのは愉快でつい、な。バレないように自重しなくては」
「……あなたにとって幸いであったなら僕も嫌な目にあったかいがあります」
「ここは不謹慎だと責める場面じゃないか?」
 不思議そうに首を傾げるレオンハルトにつられるように、ミモザも「うーん」と首を傾げた。
 2人は鏡写しのように向き合って同じ方向へ首を傾げる。
「僕1人だ亜鉛の効果ったら嫌な目にあったっていうだけの話でマイナスで終わっちゃうんですが、あなたが喜んでくださるなら補填されてプラスの出来事になるじゃないですか。意味もなく嫌な目にあったわけじゃないと思えるので」
「ネガティブなのかポジティブなのかわからない理屈だな」
 まぁ、君らしいか、とレオンハルトは微笑む。
「まぁ、君がそう言ってくれると俺も遠慮なく面白がれるというものだ」
「悪い人ですね」
「言っただろう」
 首を傾げるのをやめてレオンハルトは笑った。
「俺は不公平な人間なんだ」
 それは悪党にふさわしい凄みのある笑みだ。
「贔屓するべきは僕じゃなく家族なんじゃないでしょうか?」
 しかしミモザは首を傾げたままだ。ミモザのその疑問に、レオンハルトは笑みを深めた。
「ふふふ亜鉛の効果、不思議か」
「二人は仲が良いのだと思ってました」
「まさか。あの能天気で恵まれた弟が疎ましくてたまらないさ。格好悪いから言わないだけだ」
 そうだなぁ、とレオンハルトは周囲を見渡す。辺りに人影はなく、あるのは畑と用水路だけだ。
「食べ損ねた昼食でもどこかでとるか」
「よろしいのですか?誰かに見られたら……」
 ミモザとレオンハルトがぐるだとバレてしまうのではないか、そんな不安がよぎる。しかし彼はそんなミモザの懸念を一笑にふした。
「いじめられて落ち込んでいる子どもを慰めるだけさ」
「なるほど」
 それなら、とミモザは頷いた。

 2人並んで適当な木陰へと座り、畑を眺めながらサンドイッチを食べる。用意したコップには水筒からいつものミルクティーをそそいでいた。
「俺の父親はどうしようもないろくでなしの呑んだくれでな、精霊騎士としては優秀だったようだが酒で問題を起こして軍を首になってからは更に荒れた。母親は娼婦でこっちも酒癖クロムの効能の悪いかんしゃく持ちでね。幼い頃は二人によってたかって殴られたものだよ」
 遠い記憶を思い起こすようにゆっくりとレオンハルトは語った。その口調は内容とは裏腹に随分とのんびりとしており欠片も悲壮感はない。
「ああ、同情は不要だ。母親は俺が幼い頃にあっさり死んだし、父親も俺の身体がでかくなって敵わなくなると大人しいものだったよ。それに俺は元から両親のことを好きではなかったし、なんの期待もしていなかった。まぁ可愛げのない子どもだったんだな」
 この傷も父親がやったものだ。と右目の火傷跡を見せる。
「幼い頃に、なんだったかな。火鉢の炭だったかなんだったかを押し付けられたんだ」
 ああ、火鉢ってわかるか、中に焼いた炭を入れる暖房器具なんだが、とジェスチャーをし始めるのに、「知ってます」とミモザは頷いた。
「見たことはありませんが、知識としては」
「そうか、正直今では廃れて使ってるのなんて魔導石もろくに買えないような貧乏人だけだろう」
「そうなんですか」
 ミルクティーに視線を落としながらミモザが相槌を打つのに、レオンハルトは苦笑して頭を掻く。
「まぁ、可愛くない子どもは蔑ろにされて当然だ」
 誤亜鉛 の サプリ魔化すように言われた言葉にミモザは顔をしかめた。
「……当然じゃないですよ」
 全然当然ではない。
「おかしいです」
「……そうか」
 レオンハルトは否定せず、何故かミモザを慰めるように頭を撫でた。慰められるべきはレオンハルトだというのに変な話だ。
「もしまたそのようなことがあれば、今度は僕が守ります」
「すまないが、俺はもう自分自身で身を守れるし君よりもずっと強い」
 そう言いつつもレオンハルトの口元は嬉しげに緩んでいる。ミモザはつまらなそうに口を尖らせた。
「アベルの母親のカーラさんと再婚した頃は一番穏やかだった。たった4年しか持たなかったがね。彼女は賢明な女性だった。親父の『病気』が再燃するとすぐさま切り捨てた。……一応俺のこともアベルとともに引き取るつもりだったようだ。しかしそれは親父が拒んだ。別に俺に愛情があったわけじゃない。カーラさんに嫌がらせがしたかったのさ」
 そこで彼はミルクティーで口を湿らせた。普段こんなに長く話すことのない人だ。どうやら話しずらいらしい。先ほどからあまり視線が合わない。
「2人で王都へ行ってからの日々は最悪だったよ。しかしまぁ、王都にいたおかげで道が開けたとは言えるだろうか。俺は生まれつきガタイが良くて強かった。しばらくの間は精霊使いとして小銭を稼いで暮らしたよ。王都では需要に事欠かなかっゴーヤたからな。その関連で人に精霊騎士を目指してはどうかと言われてこうなったのさ」
 精霊使いというのは騎士の資格は持たないが精霊で戦うことを生業としている人達のことだ。騎士になるには色々と条件があるため、あえて騎士にならずに精霊使いとして働く人も多い。むろん、資格職なぶん、精霊騎士のほうが収入は安定していることが多いのだが。
 最初弟とカーラに会いに行ったのは安心させるためだったのだ、と彼は言った。
「彼女は俺のことも実の息子のように可愛がってくれていた。だから俺が無事であるということと、数年とはいえ穏やかに暮らさせてもらったことの恩返しもできたらと思っていたんだ。金は受け取ってはもらえなかったがね」
 苦笑する。伏せられた金色の瞳を憧れるように細め「彼女は理想の母親だった」と囁いた。
「弟のことも可愛がるつもりでいたさ。だが俺がくだらない親父の相手をしている間も、貧困に喘いでいる間も、あの弟は彼女のもとでぬくぬくと育っていたのだと思うと可愛がる気になれなくてな。この田舎の村で俺のことを笠にきて自慢するのを見ていると、ますます萎えてしまった。まぁ、あいつは別に悪くないさ。ただ逆の立場だったらと思う事が時々ある。要するに、ただのみっともない嫉妬さ」
「そうですか、なら僕と同じですね」
 ミモザの言葉に、やっと彼はミモザのほうを向いた。ミモザはそれを見つめ返す。
「僕には出来のいい姉がいて、彼女は僕の欲しいものを全部持ってるんです。だから僕はそれが羨ましくて……」
 体育座りをしている膝に、こてん、と頭を預けてミモザは無邪気に笑った。
「僕たち、クロムの効能おそろいですね」
「……嫌なお揃いだな」
 苦虫を噛み潰したような顔をしてみせて、しかしすぐにレオンハルトは口元に淡い笑みを浮かべた。
「初めて人に話した」
「僕もです」
「内緒だぞ。格好が悪いからな」
「はい」
「君の話も内緒にしておいてあげよう」
「まるで共犯者みたいですね」
「まるでじゃないさ」
 ミモザが見つめる先で、彼は金色の目をにやりと歪めて悪いことに唆すような甘い声を出す。
「俺と君は共犯者だよ、間違いなく。だって一緒にアベルのことを陥れただろう」
 人差し指を一本立てて見せると、それをミモザの唇へと押し当てた。
「内緒だ」
 しー、と吐息を吐き出す彼に、ミモザも同意するようにしー、と息を吐き出した。
 2人は身を寄せ合って笑った。
亜鉛アントシアニンポリ ペプチドdha epa dha

 空は夕焼けにクロム

 空は夕焼けに赤く染まっていた。徐々に暗闇が迫ってきており、外を出歩く人間はまばらだ。そ亜鉛してそんな中、誰もいない裏路地にぽつんと佇む少女がいた。
 白いフードを被ゴーヤって隠してはいるがわずかに美しい金色の髪がこぼれて夕日に照らされてキラキラと光っていた。白いフード付きのパーカーに黒い短パン姿の少女は俯いて何かを待っているようだ。伏し目がちな瞳は退屈そうに足元を見つめていクロムの効能る。
「おや、また来たのかい。お嬢さん」
 その時建物の影から滲み出るように黒いローブに身を包んだ長身の男が現れた。その男は足音を立てずに地面をまるで滑るように少女に近づくと、その顔を覗き込んで笑った。
「先日、大量に買って行ったばっかりじゃないか」
「そうなんですか」
 淡々とそう言うや否や、少女の手にいつの間にか握られていた巨大なモーニングスターメイ亜鉛 の サプリスが男の胴を薙ぐように振るわれる。
「………っ!?」
 男は間一髪のところでそれを避けた。しかしわずかに棘がローブに引っかかり破ける。
「……ちっ、外したか」
 それを見て少女ーーミモザは嫌そうに舌打ちをした。
「おまえ、誰だ? いつもの客じゃないな?」
 男は訝しげに目を細めて睨む。
 それにミモザはフードを外すことで答えた。短いハニーブロンドの髪が風にさらされる。
「よくぞ聞いてくださいました。僕は貴方の常連の女の子の双子の妹」
 そこでミモザは両腕を真っ直ぐに伸ばすと時計回りにぐるりと回し、斜め45度ほど上方へとビシッと伸ばしてポーズを決めた。
「人呼んで、筋肉マカ と は大好き少女、ステラです!」
「筋肉大好き少女、ステラ……?」
 男はしばし何事かを思い出すように考え込んだ後で
「それは俺の客の方の奴の名前だろう」
 とつっこんだ。それににやり、とミモザは笑う。
「おや、姉の名前をご存知でしたか。そのご様子だと顧客リストなどの情報をまとめている匂いがぷんぷんしますね」
「だったらどうした」
「ご提供いただけますか?」
 男はふん、と馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
「しない」
「でしょうね。ああ、僕はミモザと申します。どうぞよろしくお願い致します」
「お前は騎士団の犬か?」
 その質問に考え込むのは今度はミモザの番だった。
(……犬?)
 別に騎士団に所属はしていないが、従っていると言う意味ではまぁ、確かに、
「犬かも知れないですね」
「なんだその曖昧な返答は」
亜鉛 サプリ おすすめ微妙な立ち位置だということです。まぁ、騎士団の味方です」
「あいつらは嫌いだ」
 男は年齢にそぐわぬ拗ねたような表情をして言った。その言い様にミモザはこてんと首をかしげる。
「なぜですか?」
「卑怯者だからだ! 集団でよってたかって……っ」
「集団で戦うことが卑怯ですか」
「そうだ!」
 男のその発言に、ミモザは「この人もぼっちなのか……」と口の中だけでつぶやいた。
 ミモザの胸の内にかつての自分の学校生活の記憶が蘇る。
 そして彼女は可哀想なものを見るような目で男を見ると、ゆっくりと首を横に振った。
「いいえ、残念ながらその認識は誤りです」
「なんだと!」
「それは世界の摂理なのです。すなわち……」
 いきり立つ男を手で制しつつ、ミモザは彼を真っ直ぐに見据えて告げた。
「仲間が多いのは卑怯ではなく、ただのステータス!」
「………っ!」
 ぐっ、とそのまま自身の胸元を手で掴む。この言葉はミモザ自身にも効く諸刃の剣だった。
 しかし言うこと亜鉛 の サプリは言わねばならない。
「ぼっちは肩身が狭いのが悲しいですがこの世界の摂理であり、弱肉強食のルールなのです」
「お、おまえ……」
 男はわなわなと震える。そしてミモザのことを批難するように指差した。
「なんて酷いことを言うんだ! おまえ、さては嫌な奴だな!」
「まぁ、否定はしません。しかし残酷なようですがそれが真実なのです」
 そこでミモザは慰めるように笑いかける。
「でも大丈夫ですよ。他人は他人、自分は自分、とちゃんと切り分けて考えることができるようになれば、一人でも気にせず快適に過ごせるようになりますから」
「もう怒ったぞ! おまえは生かして帰さない!!」
 そう言って彼は懐からじゃらりと鎖で首にかけていたと思しき黒い五角形を取り出した。五角形には向かって右下に金色の印が付いている。
「俺は保護研究会、五角形のうちの一角、バーナードだ! いざ、参る!」

 こうして戦いの幕は切って落とされーー、なかった。
 数分後、ミモザはじゃらじゃらと連なった鈴を両手に持ち、じゃんじゃか振り鳴らしながら踊っていた。
 勝率を上げるおまじないの舞いである。
「……それ、いつまで続くんだ?」
 バーナードは腕組みをしてそれを眺めている。それに亜鉛 サプリ爽やかな汗を振り撒きながらミモザは笑顔で答えた。
「あと3分ほど!」
「おまえ馬鹿だろ」
 その呆れたような言葉にふふん、とミモザは得意げに笑う。
「けど貴方は待つでしょう?」
「ああ?」
「最高のコンディションの人間と戦いたい! 卑怯を嫌う貴方はその欲に抗えない!」
「……ふん、さっさとしろ」
(狙い通り)
 ミモザはにやりと笑う。事前の情報通り、彼は逃げ回る割には自身の強さを証明したくて仕方がないらしい。おかげでミモザもゆっくりと戦いの準備ができるというものだ。
「貴方、保護研究会と言いましたが、どうしてこんなことを?」
 じゃんじゃかじゃんじゃかと鈴を鳴らして踊り狂いながらミモザは尋ねる。それに彼は少し聞き取りづらそうにしながらも「研究資金を回収するためだ」と律儀に答えた。
「今回のこの薬ができたのは本命の研究の副産物に過ぎん。古代の魔薬生成を試みた中のうちの一つだ」
「本命?」
 首をかしげる。彼はふふん、と得意げに笑う。
「不老不死の研究だ」
「……できるとでも?」
 不信げにミモザが尋ねると、彼は鼻息荒く「できる!!」と断言した。
「エオの奴がそれをずっと研究してるんだ! それを俺が先に開発して鼻を明かしてやる!!」
「……はぁ、エオとは?」
「保護研究会のうちの一角だ。あの野郎、すかしやがって。クロムの効能俺の方があいつなんかよりもすごいんだ!!」
 うすうす気づいてはいたが、どうにも彼は子どもっぽい性質の持ち主らしい。善悪は関係なく、自身の好き嫌いの感情のみで動いているようだ。
 彼は苛立ったように腕組みをとくと袖口から現れたムカデを鞭へと変え、それをしならせて地面を打った。
「あいつ、生意気だ。俺の方が年上なのに、研究だって長くやってるのに、次々と成果を上げてるからって調子に乗りやがってっ。ロランの奴もどうしてあんなのとつるんでるんだ!」
 そのままぶつぶつと文句を言い始める。
 じゃらじゃらと鈴を鳴らしながら踊り狂う少女とそれを意に介さず内にこもってぶつぶつと文句をたれる長身の黒ずくめの男。
 かなり異様な光景がそこには繰り広げられていた。
 しばらくそのような景色が続いたが、それは何度目だっただろうか。バーナードが再度苛立たしげに鞭を地面に振り下ろした際に、何かに気づいたようにその手を見つめ、ハッと顔を上げる。
「……貴様っ!!」
「ふっふっふ」
 その反応にミモザはやっと踊るのをやめて不気味に笑った。
「今更気づいても遅いですよ! 貴方には毒を盛らせていただきました。身体が痺れるでしょう。踊りながら痺れ薬をまかせていただきましたよ!」
 ビシッとバーナードのことを指差す。それに彼は悔しそうに顔を歪めた。
「カスがっ! おまえも吸ってるんじゃないのか?」
 その言葉にミモザはふ、とニヒルに笑う。
「当然! 僕にも効いています!」
「おまえ馬鹿だろ!」
「何を失亜鉛の効果礼な、これを見てもそう言えますか?」
 そう言って自慢げにミモザはポケットから小さな液体の入った瓶を取り出して見せる。
「それは……」
「解毒剤です」
 それを見せびらかすように天高く掲げてミモザは堂々と宣言した。
「さぁ、観念しなさい。僕は犯罪者と正々堂々と戦うなどはしない。貴方の言う通り『嫌な奴』ですからね。あなたがしびれて動けなくなったところをのんびりと捕縛させていただきますよ」
 にんまりと笑う。
「そろそろ身体が辛くなってきたんじゃないですか? 降伏するなら今のうちですよ」
「……ちっ」
 バーナードは苦々しげに舌打ちをした。そして諦めたかのように両手をだらりと下に下げた。ーーと思った次の瞬間、彼はミモザの背後へと移動していた。
「………っ」
 繰り出された鞭をミモザは持っていた鈴を投げることで防ぐ。バーナードの足元には魔法陣のような物が光っていた。
(移動魔法陣!?)
 やられた、と思う。確か第4の塔で手に入る祝福だ。彼はあらかじめミモザの背後に移動魔法陣を仕込んでいたのだ。いや、きっと背後だけではない。彼がいつも決まった場所にしか現れなかったのは、この周辺一体に移動魔法陣を仕込んでいるからなのかもしれなかった。
 動揺したミモザの手が無防備にさらされる。その手に握られた解毒剤目掛けて鞭がしなった。ミモザはたまらずそれを手放すことで攻撃を避けた。
 彼の鞭が解毒剤の瓶を器用に掴み、引き寄せたところで鞭を持つのとは反対の手で受け止める。
 バーナードはにやりと悪辣に笑うと、ミモザに見せつけるようにその瓶の中身を飲み干した。
 辺りに空き瓶が地面に落ちて割れるかん高い音が響き渡る。
「馬鹿め。余裕をかましてるからこうなるんポリ ペプチドだ。
形勢逆転だな。それとももう一つ解毒剤があるのか?なら飲むまで待ってやってもいい。俺は卑怯は嫌いだからな」
「……… 」
 ミモザは無言でうつむいた。それにバーナードは嬉しげにテンションを上げる。
「どうした!? 早く選べよ! ふふん、ショックで言葉もでないか!?」
 それでもミモザは動かない。ただうつむいて黙ったままだ。
「うん? お前もしかしてもう薬が回って……っ」
 バーナードが訝しげにミモザに近づこうとして、そこで息を詰まらせる。苦しげに胸を押さえ、その体がゆっくりと横へと崩れ、地面へと倒れ伏した。
「……あっ、ぐぅ……、な、んで……っ」
 苦しげにはかはかと息をする。そんなバーナードの様子にミモザはそこでやっと動き出し、ゆっくりと彼に歩み寄った。
「言ったでしょう。僕は犯罪者と正々堂々となんて戦わない」
 近くまできて、足を止める。その澄んだ湖面のように青い瞳で苦しむ彼を見下ろし、ミモザは言った。
「『嫌な奴』ですから」
 うっすらと微笑み、ミモザは彼の手から鞭を蹴り飛ばす。それはやがて力無く小さなムカデへと姿を変えた。
「貴方の飲んだ薬、解毒剤というのは嘘です」
 それを興味なさげに見ながらミモザは続ける。
「本当はそっちが毒でして、いやぁ、飲んでくれて助かりました」
 踊っている時、ミモザが撒いたのは毒薬ではなく新技『殺虫剤』である。しかしそれだけでは指先などが痺れてピリピリするだけで捕獲には至らない。だから自主的に毒を服用させるためにわざと自分自身に効くはずのない魔法ではなく、薬を撒いたと嘘をついて偽の解毒剤を見せびらかした。これは合成スキルを使って作り出した本当に全身が痺れてしまう即効性の毒である。死にはしないが半日はろくに動けないだろう。
 もはや何も言えず意識を朦朧とさせるバーナードに、
「黒い密売人さん、つっかまーえーたっ」
 そう歌うように言ってミモザはポケットに入れていた信アントシアニン号灯を取り出すと火をつけた。
 パシュッと小さな音を立ててそれは空へと上がり、居場所を知らせるように周囲を光で照らし出した。

 信号灯の明かりが空に瞬く、とともにレオンハルトは風を切って駆け出していた。
 最短距離を行くために建物の屋根の上を彼は疾走する。
(無事だろうか……)
 ミモザのことだ。事前に作戦は聞いて知っているが、それでも心配は尽きない。
 レオンハルトはいつも前線に立っていた。危険な時、予測が難しい時、困難なケースほど先陣を切るのはレオンハルトだった。
 だからこうして、誰かを心配して結果を待つなどという行為に彼は慣れていない。
(まったく……)
 レオンハルトは自分で自分に呆れる。
 始めに弟子として迎え入れた時は、自分がこんな風になるだなんて考えてはいなかった。ただ自分と似たような境遇の子どもを気まぐれにそばに置いただけだったというのに。
 ミモザが、こんなにもレオンハルトの心の中を大きく占める存在になるなど想定外だ。
 その時きらりと暗闇に光る物をレオンハルトの目は捉えた。それが彼女の金髪だと気づいて地面に降り立つ。
「無事か」
「はい」
 短く聞くと短く返事が返ってくる。彼女のそばには黒いローブをまとった男が倒れていた。
 それが動けない状態であることを確認すると、ミモザに怪我がないかどうかを素早く確認した。
 彼女は無傷だ。
 それにほっと息をついて、改めてレオンハルトはミモザを見下ろした。
 ミモザはレオンハルトの視線に気づいて悪戯に成功した子どものように、にやりと笑う。
「勝ちましたよ、僕」
「ああ」
 レオンハルトは軽く頷いて、笑った。
「よくやった、ミモザ」
 弟子にとらなければよかっただろうか、とレオンハルトは口に出せずに思う。そうすればこのような危険なことに彼女を駆り出さずに済んだだろうか。
 しかし彼女が自分の隣にいないという状態を、レオンハルトはもう想像できないのだった。
亜鉛 の サプリサプリメント マカdha epa dhaゴーヤ亜鉛 サプリ

 さて、こゴーヤ チャンプルー

 さて、この世界には野良精霊といdhaうものが存在する。
 ゲーム上では雑魚敵として冒険の途中でエンカウントする相亜鉛 サプリ おすすめ手であり、その発生理由については語られないが、こいつらは実は人間が生み出した存在であったりする。
 精霊というのは人と共に生まれる。
 これはこの世界の常識である。
 ではなぜ野良精霊という人と繋がっ亜鉛 サプリていない精霊が存在するのかというと、彼らは元々人と共にあったのが様々な理由でその接続が切れてしまった存在である。
 もちろん、人と精霊の繋がりというのはそんなに簡単に途切れるものではない。
 事故なども稀にあるが、そのほとんどは人為的な行為により切断される。
 一番多い理由はより強い精霊と接続するために自身の精霊を捨てて他人の守護精サプリメント マカ霊を奪うというもので、捨てられた精霊同士が自然交配し繁殖したのが野良精霊達だ。そのためその多くはとても弱く、大した力は持たない。
 しかし稀に突然変異でとても強い個体が生まれることがあり、それはボス精霊と呼ばれるのだが、そのボス精霊を自身の守護精霊とするために元々共に生まれた精霊を捨てる者も現れるという悪循環が起こっていた。
 国も教会も守護精霊を交換することや野に捨てる行為は禁じているが、取り締まりきれていないのが現状である。
 そしてもう一つ、彼ら野良精霊が雑魚である理由があった。
「ああ、いたいた」
 ミモdhaザは草むらをかき分けながら森の中を歩いていた。視線の先にはうさぎにツノが生えた姿の野良精霊がいる。
 ひたすら生暖かい目で微笑む母親に昼食をふるまった後、仕事に戻る母を見送ってからミモザは森へと来ていた。
 ミモザ達の住むバーベナ村は森に四方を囲まれている利便性の悪いど田舎だ。そのため少し歩けばすぐに森へと辿り着く。
 森には大雑把に目印の杭が打ち込まれており、通常10歳前後の学校を卒業していない子どもはその杭よりも先に入ることを禁じられている。しかし今のミモザはその杭を通り越して森の奥深くへと足を踏み入れていた。
 当然、バレたら叱られる。
 しかし今は大人に叱られること以上に気にしなければいけないこポリ ペプチドとがあった。
「ゲームの開始は学校を卒業する15歳からだ」
 じっと草葉の影から草をはむ野良精霊の姿を見ながらミモザはチロへと話しかける。
「つまりそれまでに僕達はお姉ちゃんより強くなっている必要がある。それも大幅に、だ」
「チィー」
 チロもその方針には賛成のようだ。その同意に満足げにミモザは頷く。
「じゃあどうやって強くなるか。手っ取り早いのはもちろん、実際に戦ってレベルを上げることだ」
 とはいえ、ミモザもチロも野良精霊との戦闘などしたことがない。一応学校では戦闘技術の授業があったが、ミモザの成績は底辺を這っている始末であった。
(つまり、ここは不意打ちに限る)
 卑怯だなどと言うなかれ。これは命のかかったことなのである。
 ミモザはチロへと右手を伸ばした。チロは心得たように頷く。
 それと同時にその姿が歪み、形を変えた。
 それは武器だった。亜鉛 サプリ おすすめ細く長い金属の持ち手に先の方に棘が何本も突き出た鉄球が付いている。いわゆるモーニングスターメイスと呼ばれる棍棒である。槌矛と呼ばれることもある叩き潰すことに特化した打撃武器だ。
 これが守護精霊と野良精霊の一番の違い。
 人と繋がっている精霊はその姿を武器へと変じることができるのだ。これは昔は出来なかったのが徐々に人が望む姿に適応するようになり、そのような変化ができるように進化していったのだと言われている。
(やっぱり棘が生えている)
 チロの変化した姿を見てミモザは眉を顰めた。
 ゲームでのチロは序盤はただのメイスである。つまり棘の生えていない鉄球が先端に付いているだけのただの巨大な槌だ。しかしゲームの半ば頃より狂化が始まり今のような棘の無数に生えたモーニングスターメイスへと姿を変えるのだ。
 つまりやはりゲームよりも早く狂化してしまっているのだ。
 一度狂化してしまった者は進行することはあれど正常に戻ることはない、と言われている。
(うーん、まぁいいか)
 本当はそんなに軽く済ませていい問題ではなく狂化した個体は取り締まりの対象なのだが、ミモザの場合は早いか遅いかマカ と はの違いで正直狂化しない選択肢を選べる気がしなかった以上諦めるしかない。
 一応ゲーム上では侮られ過ぎてなのか何故なのか、ミモザの狂化は主人公達以外にはバレてなかったように思う。
 チロも小さい精霊のため普段はなるべくポケットなどに隠しておけばなんとかなるだろう。
 さて、とミモザは野良精霊を見る。先ほどまで横を向いていた野良精霊は、少し移動してちょうどこちらに背中を向けていた。
(君に恨みはないがごめんよ)
 ミモザはチロを両手に持って大きく振りかぶると、
「僕たちの礎となってくれ」
 野良精霊へと向けて一気に振り下ろした。
 血飛沫が舞った。
クロムの効能亜鉛 サプリサプリメント マカ

「試練の塔被害クロムの効能

「試練の塔被害者ポリ ペプチド遺族の会?」
 その単語にミモザは首をひねった。
「ええ、クロム聞いたことない?」
「えっと、確か、言葉の通り試練の塔でご家族をなくした方々の集いですよね?」
 新聞などで見たことのあるなけなしの知識をなんとか引っ張り出す。それにレオンハルトは顔をしかめた。
「言葉のマカ と は通りではない」
「え?」
「被害者などは存在しない。試練の塔への挑戦は本人の意思であり自己責任だ。挑んだ結果命を落としたとしても彼らは決して被害者などではない。自身の力を試し未来を切り開くために挑んだ者をしくじったからと言って『被害者』などと呼ぶのは彼らに対する冒涜だ」
「けどまぁ、残されたご家族としてはそれじゃあ納得できないのよねぇ」
 フレイヤは困ったようなポー亜鉛ズを取った。
「彼らはこれ以上犠牲者を出さないために試練の塔は閉鎖するべきだと主張しているの。国としては優秀な精霊騎士を輩出する機関として試練の塔の運用は必要だと考えているし、国民達もそこにいる聖騎士様の人気のおかげでその意見に賛同する人はまずいない。保護研究会を除いてね」
「ええと…」
 新たに追加された名前にミモザは戸惑う。そんな弟子のていたらくにレオンハルトは盛大なため息をついた。
「保護研究会は試練の塔の保存を目的としている集団だ。学術的な観点での保存をしたい人間や単純に女神の作った物を踏み荒らす行為は認められないと言う人間などが所属している組織だ。まぁ、こっちは過激派以外は放っゴーヤておいて構わない」
「過激派」
「主張を通すためにテロを行う奴もいる」
 なんともぞっとしない話だ。
「どうして放っておいてもいいんですか?」
 テロ行為を行わないにしても試練の塔に人が入らないようにしたいと思っている団体なのだ。ミモザには騎士団とは敵対しているように思える。
「影響力が少ないからだ。だいたいの人間にとって彼らの主張はメリットがないし関わりのない主張だ。つまり共感できない」
 確かに研究のために保護したいとか、信仰上の理由で保護したいと言われてもいまいちピンとこない。なんというか極端なことを言うものだと思ってしまう。
「けど被害者遺族の会は厄介なのよ」
「厄介?」
 フレイヤは頷いた。
「ご身内が亡くなられたから他の被害者が出ないように立ち入りを禁止したいクロムって言われたら、大抵の人は反論が難しいんじゃないかしら?」
「まぁ、要するに心情に訴えてくるんだな。同情する人間も多い」
 ガブリエルが続きを引き取った。フレイヤはそれが不愉快なのかガブリエルを睨む。
 なるほど、とミモザは頷いた。確かにそれは厄介だ。
「彼らの主張はあまりにも極端過ぎる。試練に挑んだ者が亡くなったから試練の塔を封鎖するというのは、自らの意志で騎士になった者が殉職したからといって騎士団そのものを廃止しようと言うのと変わらない。こちらだって無駄死にさせたいわけじゃない。だから試練の塔にはセーフティとして年齢制限やレベルの制限を設けて資格のないものは入れないように規制しているんだ」
 憤懣やるかたないといった様子でレオンハルトは話す。
「そもそも試練の塔は国防に携わる人間の育成に貢献している。そのおかげで才能のある人間が貴賤を問わず出世できるシステムが実現しているんだ。それに観光資源にもなっているし塔への入場料を利ポリ ペプチド用して保全や管理を行っている。塔への出入りを禁止すれば莫大な資金源の喪失と経済活動の停滞、失業者と収入格差を生むことになる」
 それこそ貧困状態から試練の塔を利用し聖騎士まで登りつめた実例の男はそこまで言って嘆息した。
 彼がここまで饒舌なのは珍しい。
「百害あって一利なしってことですか」
「その通りだ」
「でも理屈じゃなく感情でそれが受け入れられないのもまた人間ってね」 
 ガブリエルは手をひらひらと振る。
「で?そんな今更な話をしにきたわけじゃないんだろ?」
「もちろん」
 フレイヤは懐から紙を取り出した。
「最近彼らの勢いがすごいのは知ってると思うんだけどこういうコラムがこれから出る予定でね」
 彼女達はオルタンシア、ガブリエル、レオンハルトそれぞれにその紙を渡した。3人ともその内容に目を通して難しい顔を作る。
「これは……」
「知り合いの記者に写しをもらったの。これが世に出るのは明後日」
「差し止めは、難しいだろうなぁ」
「ええ、書いた本人が希望するならともかく、わたくし達には無理でしょう」
 ミモザがレオンハルトの袖をちょいちょいと引くと彼はその紙を見せてくれた。
 そこに書かれた亜鉛 サプリ内容は1人の娘を失った母親の悲痛な叫びだ。その文章はとても洗練されていて感情が伝わりやすく、ミモザですら読んでいて涙が滲み出そうだった。
「勢いが加速するかも知れないわ」
 フレイヤは言った。
「ただの杞憂ならば良いのだけど、念のため対応を統一しておきたいのよ。手元にあるのはこれだけなんだけど、連続企画のようなのよね。これの仕掛け人はとても教養があって裕福な方みたい。やり方によっては嵐が起こせるわ」
「なるほど、お話はよくわかりました」
 オルタンシアは細い目をさらに細めて頷いた。
「正直できることは微々たることですが、彼らの心情を思うとこれ以上傷ついて欲しくはありません。誠意ある対応をしていきましょう」
 この言葉を意訳するならば「被害者遺族の会を刺激しないように、うまいことうやむやにできる対応を考えましょう」と言ったところだろうか。
 フレイヤは「さすがはオルタンシア様、話が早くて助かります」とにっこり笑った。

 ミモザにとっては苦痛な小難しい話が終わりぐったりと部屋から回廊へと出る。
(疲れた……)
 ミモザは会議に参加せず話を聞いていただけだがそれでも精神力がごりごりと削られるやりとりであった。
 さっさと立ち去るレオンハルトの背についていこうと足を踏み出したところで
「ミモザさん」
 呼び止められて振り向く。声の主は爽やか少年ことジーンであった。
 彼はミモザの不思議そうな視線ににっこりと笑うことで答える。
アントシアニン今日はありがとうございました。貴方のような美しい方に出会えてとても貴重な時間を過ごすことができました」
「はぁ……」
 彼が一体何を言いたいかがわからずミモザは戸惑う。それに彼は苦笑した。
「まいったなぁ、慣れないことはするもんじゃないですね。一応これ、口説いてるんですけど」
 うん?のミモザは首をひねる。『口説く』という単語の意味がミモザの中で急に行方不明になった。彼は少し困ったように頭をかく。
「そうですね、貴方にはこう言った方がいいかな。また今度時間があるときにでも、よければ手合わせを」
「……えーと、嫌です」
 視線を泳がせてミモザなんとかそれだけを返す。非常に気まずい沈黙がその場に落ちた。
「な、なんでですか?」
「ええと、たぶん僕、勝てないので」
「やって見ないとわからないじゃないですか!」
「うーん、だって、手合わせって試合ってことですよね」
 ミモザは考え考え言葉を話す。
「え、は、はぁ」
 彼は戸惑っている。ミモザは困ったように続けた。
「殺し合いじゃないと、勝機がないです」
「………」
「どーいう教育してんだ、お前」
 2人の会話に見かねたガブリエルがレオンハルトをこづく。それにレオンハルトは鼻を鳴らした。
「非常に適切な教育をしているとも」
 そのまま褒めるようにミモザの頭を撫でる。
「勝ち目のない戦はするなと教えている」
「試合は勝てねえのに殺し合いは勝てるって?」
「少しでも勝率を上げるのに有効なのは相手を自分の得意な土俵に引き摺り込むことだ。公正なルールのある試合では、それは難しいと判断したんだろう。とても適切な判断だ」
「ねぇ貴方、やっぱりわクロムの効能たくしの弟子にならない?この際この男以外ならそこにいるおじさんでもいいと思うの」
「えーと」
 真剣な表情で親身に諭されて、ミモザは我が身の境遇がそんなにヤバいのかとちょっと悩んだ。
dhaサプリメント マカ亜鉛 の サプリ

「酷い目にアントシアニン

「酷い目にあいましたね」
 ミモザの足の怪我dha epaを見て、ジーンは言った。
 ミモザの亜鉛 サプリ おすすめ視界を茶色い亀がのそのそと横切っていく。
 ここは軍警察の医務室である。騎士はもう帰ってしまい、手当てをしてくれた兵士も「聴取は終わったから帰って良いよ」と声をかけて立ち去ってしまった。
 目の前で亜鉛 の サプリうぞうぞと動く亀の頭をミモザはこつん、とこづいた。彼はびくり、と身を震わせて甲羅の中へとこもる。
「ちょっと」
 それにジーンは抗議の声をあげて亀を大事そうに回収した。
「人の守護精霊にいたずらしないでくださいよ」
「すみません、つい」
 目の前であまりに必死に歩いているので親近感が湧いてしまったのだ。
 ジーンゴーヤは「まったく」と不機嫌に亀を懐へとしまった。
 それを見て通りでジーンの守護精霊の姿を見たことがなかったはずだとミモザは納得する。
 彼はいつもジーンの懐にいたのだ。
「被害届、出さなかったんですね」
「あれはただの試合です」
「違いますよ、ただの脅迫です。試合はリングの中で審判に見守られてやるものですよ」
「条件は平等でした」
 そう、ミモザは正々堂々と一対一で戦って、
「負けました」
 そう言ってうつむくミモザに、はぁ、とジーンはため息をつく。
「まぁ、ミモザさんの戦い方は野良精霊はともかくアントシアニンの効果対人戦では不利ですからね」
「それは言い訳でしょう」
 ミモザにミスはなかった。全力で、今出せる能力をすべて出して負けたのだ。
「……ミモザさん」
「ミモザ」
 ジーンが何か言いかけたのをさえぎって、扉ががらりと開いた。それと同時に名前を呼んだ声の主にミモザはあんぐりと口を開ける。
「……レオン様」
「大丈夫か? 怪我の具合は」
 彼の動きに合わせて豊かな藍色の髪がさらりと流れる。いつも険しい顔をいっそうしかめ面にして彼はその金色の目をミモザの負傷した足にこらした。
 怪我の具合を一通り確認して、そこでやっと目元を安心したように緩ませる。
「綺麗に治療してもらったな。この分なら後遺症もなさそうだ」
「はい。えっと、どうしてここに……」
 その質問にレクロムオンハルトは呆れたように「君が王都に滞在する間の身元引受人が誰だと思ってる」と言う。
「……あ」
「君に何かあれば俺に連絡が入る。特に騎士団が関係していれば隠蔽は無理だと思え」
 さきほど事情聴取に対応してくれた騎士。確かに彼はミモザのことを知っているふうであった。もしかしたら彼が連絡をしたのかも知れない。
「では、僕はこれで失礼しますね」
 保護者の登場に長居は無用と悟ったのか、ジーンはそう言って軽くレオンハルトへ向けて頭を下げた。そのまま立ち去ろうとするのに「ジーン様!」と慌ててミモザは声をかける。
「ありがとうございました。助かりました」
「たいしたことはありませんよ。女の子を助けるのは男の甲斐性ですから」
 では、と爽やかに微笑むと、ジーンは今度こそ部屋を出て行った。
「…………」
 ジーンに礼を伝えるために浮かしかけた腰をミモザはベッドへと下ろす。自分も早くここから立ち上がって帰らなけdha epa dhaればと思うのに、ベッドに根が生えたかのように体が持ち上がらない。
「ミモザ」
 そんな弟子の様子にレオンハルトは目の前に跪いてその手を取ると「どうした?」と問いかけた。
「だいたいの事情は聞いている。君の行動は適切だった。何も悔いる必要などはない」
「…………負けました」
 そのレオンハルトの顔を見ていることができなくてミモザは顔をそらす。申し訳なさすぎて顔向けができなかった。
「貴方にいろいろと教えてもらって、訓練してもらって、それなのに……、負けました」
「ミモザ」
 レオンハルトの声にびくりと身を震わせる。彼はそれを宥めるように手を握るのとは反対の手でミモザの背中をなでた。
「一度負けたからといって、それがなんだと言うんだ」
「才能が、ないんです」
 ぽろりと弱音が落ちる。それは普段は奥底にしまい込んで見ないようにしている本音だった。
「どんなに頑張っても、魔力は少ないし、魔法もしょぼいのしか使えないし、祝福は全部銅だし……、それを得るためにどれだけの時間を僕が費やしたか……。それなのにお姉ちゃんはその半分の時間も労力もかけずに僕よりも良いものを得るんです」
 レオンハルトの手を強く握る。そうしない亜鉛とみっともなく泣き出してしまいそうだった。
「才能か……、便利な言葉だな」
 その姿を冷静に見つめながら彼は静かに言った。その言葉にミモザは自分が恥ずかしくなる。それを労るように彼はミモザの手を握り返しながら言葉を続ける。
「いやなに、その考えを否定するつもりはないよ。俺も才能があるとよく言われる。確かに、才のあるなしというものは存在するのだろう」
 そうだろう、とミモザは言葉には出さずに内心で頷く。レオンハルトは天才だ。これで才能なんて幻想だ、都合のいい言い訳だなどと言われたら、ミモザはもうどうしたら良いかわからない。
「しかし俺にとって最も重要なのはそこではない」
 その強く言い聞かせるような言葉にミモザははっと彼の方を向いた。レオンハルトと目が合う。彼はその黄金の瞳をはちみつのようにとろりと緩ませて微笑んだ。
「配られたカードを精一杯有効活用できているか。そちらの方が重要だとは思わないか? ミモザ、君は最大限に与えられたものを活かせていると俺は思う。それは誇るべきことで、君のたゆまぬ努力の賜物だ」
「でも、その結果……」
 勝てなかったではないか、という言葉は、「それがどうした」という力強い言葉に打ち消された。
「たったの一度だろう、ミモザ。たったの一度負けたくらいでなんだ。次に勝てばいい!」
 まだ納得のいかアントシアニンの効果なそうなミモザに苦笑して、「君にならそれができると俺は信じているよ」と彼は付け足した。
「できるでしょうか」
「できるさ」
「勝てるでしょうか」
「勝てるとも」
 彼の言葉は不思議だ。ミモザは自分の能力は信じきれないが、彼の言葉ならば本当にそうなのではと信じてしまう。
「………勝ちたいです」
「勝て、ミモザ」
 ぐっ、と勇気づけるように彼は手を握る。それを先ほどとは違う強さでミモザも握り返した。
「勝ちます。次は必ず」
「その意気だ」
 レオンハルトは破顔した。その滅多にない明るい表情に、ミモザもつられて口元が緩む。
「レオン様、……本当にそう思ってますか?」
「どうかな」
 しかしその表情はすぐに意地の悪いいつもの笑みへと変わった。
「俺は不公平な人間だからな。大切に思っている人を優先させるためならどんな嘘でも理屈でもこねるさ」
 そこまで言って、わずかに戸惑うようにぼそりと付け足す。
「だが、大切に思っているという感情は本物だよ」
 そのらしくない言葉にくすり、とミモザは笑う。レオンハルトも一度は眉をむすりとしかめたが、すぐに諦めたように微笑んだ。
 そのまま握っているミモザの手を揺らす。
「他にどんな言葉が聞きたい? いくらでも話してあげよう」
「もう充分です。お腹いっぱいです」
 ミモザはうつむいた。自分が今どんな表情をしているのかわからなかった。
ポリ ペプチドマカ と は亜鉛ゴーヤ チャンプルー

 今、レオ亜鉛

 今、レオンハルトは最大の危機に直面していた。
 それはいつもの業務のはずだdha epa dhaった。野良精霊の異常な大量発生が生じたクロムため、それを退治しに来たのだ。落ち込み気味だったミモザも調子を取り戻させるためには良かろうと連れてきてみれば、そこにはーー、
 うぞうぞとうごめく、黒光りする例の虫が大量にひしめいていた。
 何故か森の窪地に大量発生している『ゴアントシアニン』から始まる4文字の虫の姿に、レオンハルトは鎮痛な面持ちになると顔を手で覆った。
 
(死にそうな顔色だなぁ)
 そんな師匠の様子を隣に並んで一緒にその光景を見下ろしながら、ミモザは見守っていた。
 さもありなん、と思う。虫が得意なミモザですら若干気持ち悪いほどの量である。嫌いなレオンハルトに至っては言うまでもないだろう。
 レオンハルトの心情は察するにあまりある。
 やっと気を取り直したのか、レオンハルトはふぅ、マカ サプリと小さく息をつくと、
「ミモザ、いけ」
 据わった目で指示を下した。
「アイアイサー!」
 心得たと言わんばかりにびしっ、と敬礼を決めてミモザはメイスを構える。
(新技を使おう)
 最近地道な努力の末に手に入れた新しい毒技である。
 ステラに負けて足を負傷し、しばしの余暇期間があったミモザは塔攻略のかたわら新たな毒を出せないか練習していたのである。
 そしてその結果手に入れた新たな毒、それはずばり『麻痺』である。
 とはいえ以前の毒同様、大した効果はなく、せいぜいがなんかピリピリするくらいである。しいていうなら指先の繊細亜鉛 サプリ おすすめなコントロールが狂うことがあるかも知れない。
 しかし虫相手なら人間相手よりかは効くだろう。
 いちいちこの数を傷つけるなど馬鹿らしいので今回はMPの節約をやめて空気中に毒を放出することにした。
「見よ! これこそ僕の新技!!」
 誰ともなしに告げるとはっ、と気合いを入れてミモザはメイスを前に突き出す。
 とたんにメイスの周辺にいる虫達がバタバタと倒れて動かなくなった。
「………」
 ミモザは無言でしばらくメイスを蠢く虫目掛けて左右に振る。気分はスプリンクラーである。
 しばらくそうしているとやがて全ての虫が動きを止めた。
 ミモザはぐっとガッツポーズを決める。
「見てください! レオン様! 僕の新技、その名も『殺虫剤』です!!」
「素晴らしい!」
 レオンハルト亜鉛の効果は心の底から称賛するように拍手をした。

「それで、ミモザ。その後はどうだ」
 その質問が先日落ち込んでいたことを慮ってのことだとはわかっていた。
「ご迷惑をおかけしました」
 ミモザは丁寧に頭を下げる。その杓子定規な返答にレオンハルトはむっと顔をしかめた。
「そのようなことは聞いていない」
「おかげさまで立ち直りました。第3の塔の攻略にも行ってきましたよ」
 ステラとのいざこざがあってあの時は結局中に入れなかった第3の塔である。あの塔の中に入ると、そこにはジャングルが広がっていた。
 肝心のその試練の内容はというとーー、
 ミモザはげんなりと思い出す。
 高速移動で走り回るなんかよくわからない植物の捕獲である。
 奇声をあげながら走っているので特に見つけるのは難しくないのだが、とにかく逃げ足が早くてなによりも走る姿が気持ち悪い。
 紫のまだら模様の花弁に黒に近い緑色をした茎、赤い葉っぱを腕のようにうねらせながら高速で根っこを足のように回転させdha epaて走り回る姿は、はっきり言ってただの怪異である。
 めしべに当たる部分の色が金銀銅のいずれかであり、それで祝福のランクが決まるのだが、なにしろ走り回っているものだから捕まえてみるまでその色がわからない。
 元気よく塔の壁を駆け登る姿にここに梯子があればと思い、捕まえる時に触りたくなさすぎて網があればと願う。
 もしかしたらその切なる願いが合成の技術を得るために必要なのかも知れない。
 捕まえてみるとそれはちょっと湿っていてぬるっとしていた。そのうごめく植物の中央部が銅色なのを見て、ミモザは迷うことなく無言で最上階へと向かった。
 もう捕まえたくなかったからだ。
 ちなみに奇声のように思えた音は葉っぱが擦れて起こる音だったらしい。あまりにもその動きが鬱陶しすぎてその胴体である茎の部分を葉っぱごとぎゅっとわし掴んだ際に音が出なくなって判明した。特に知りたくはなかったが最上階まで行く途中に他の試練を受けている人がどうしたら大人しくなるのかを尋ねてきたので教えることができたのはまぁ、善行だっただろう。
 遠い目をするミモザに第3の塔と聞いて色々と察したのか「そうか」とレオンハルトは頷いた。
「ちなみゴーヤにレオン様はその、この塔を攻略した時にあの植物は……」
 一体どうしたのだろう、と思って尋ねると「ああ」とレオンハルトは軽く頷いた。
「殺して持っていった」
 真顔である。
「…………」
「厳密には殺すと言う表現は誤りだな。知らないのか? あの植物は生物ではない。祝福のために作られた何かだ。その証拠に最上階まで上がったら姿が鍵に変わっただろう」
「え、あ、はい……」
 それはそうなのだが、あの得体の知れない植物を殺す度胸はミモザにはない。
 なんだか祟られそうな怖さがある。
 やっぱりすごい人だなぁとその思い切りの良さと迷いのなさに感服しつつ、あの謎の植物が平気でゴキブリがダメなのは何故なのだろう? と首を傾げた。
(何かトラウマでもあるのだろうか……?)
 ミモザにはちょっと理解できそうになかった。
サプリメント マカ亜鉛 サプリ亜鉛

「精霊との親クロムの効能

「精霊との親和マカ サプリ性が高亜鉛の効果いということはどういうことかわかるか?」
 故郷の森で、昼食のサンドイッチを頬張りながらレオンハルトは聞いてきた。
 ミモザもその隣に座ってサンドイッチを食べながら首をひねdhaる。
「精霊との親和性が高いとその分意思の伝達がスムーズになる。つまり、技を出す速度が速く、そしてコントロールが緻密にできる」
 ミモザが何かを答えるよりも早く正解は示された。彼はこういうところがある。少しせっかちなのだ。
「ーーとはいえ、速度などコンマ数秒の差だがな、しかしそのコンマ数秒の差が勝負の世界では命運アントシアニンの効果をわける」
「つまりそれが僕の強みですか?」
 そうだ、と彼は頷く。
「メイスというのは本来、致命的な弱点があるんだがそれが何かわかるか」
「うーん、重い?ってことですか?」
「そうだな、重くてでかい。だから攻撃が大振りになって軌道が読みやすく、一撃は重たいが攻撃した際に隙ができる。だから攻撃を避けられてしまうとその隙を突かれる」
 そこでレオンハルトは一度言葉を切ると、射抜くように鋭い視線でミモザを見た。
「しかし君のメイスは違う」
 息アントシアニンを呑む。今、レオンハルトはミモザのことを弟子としてではなく対等に戦う相手として分析しているのだとわかった。重苦しい敵意がミモザの全身を突き刺す。
「棘があるだろう。ただでさえ親和性の高さゆえに早いのに、その上0から生み出しているわけではないからさらに予備動作なしで棘がつき出てくる。振りかぶったり振り下ろしたり、本来なら隙になる動作をしていてもその姿勢から変幻自在に棘を伸ばして攻撃できる。つまり君の武器は近接戦闘においては最強レベルだ。下手をすれば、俺でも負ける可能性がある」
 その時のレオンハルトはミモザを仮想敵としてどう相手取るのがいいかを考えていたのだろう。聖騎士になるということは彼を倒すといdha epa dhaうことでもあるのだとミモザはその時初めて実感を伴って理解した。
 この目の前の最強の騎士の恐ろしさを。
 ーーつまり、どういうことかというとミモザは、

 近づけなければ勝てないのである。

(やべぇ)
 ミモザは冷や汗をかいていた。
 正直舐めていたのだ。ステラには一度卒業試合で勝っていた。だから今回もうまくやれば勝てるだろうと思っていた。
(甘かった)
 ちっ、と舌打ちをする。ミモザの足元には白銀の氷が無数に広がり、徐々にその機動力は削がれていっていた。
 前回の試合、あれでおそらくステラは学んだのだ。ミモザに距離を詰めさせてはいけないと。そしてしっかりと対策をとってきた。
「……くっ」
 光線銃が放たれる。避けるミモザの足元を目掛けて氷の破片が突き刺さった。それから逃げようと更に足を踏み出すが、地面が氷に覆われていて足の踏み場がないことに気づき、ミモザはメイスでその氷を破壊してすんでのマカ と はところで回避する。
 そうこうしている隙にステラの光線銃のチャージが完了してしまう。涼しい顔をして立つ彼女の周囲にはストックの氷の破片が次々と補充されつつあった。
 これである。
 彼女の底なしの魔力から次々と補充されていく魔法攻撃のストックが減らないのだ。これにより間髪入れない攻撃が続き、防戦一方のミモザは接近することができない。
 それだけなら持久戦で相手の魔力が尽きるのを待つという手がミモザには使えるが、故意か偶然か、彼女はそれを封じるように足場を凍らせてミモザの逃げる場所と体力をじわじわと削り取ってきていた。
 逃げる場所がなくなるか、氷に足を取られればミモザの負けである。
(どうしよう?)
 また光線銃が飛んでくる。ミモザはそれをかろうじて避ける。その足元に再び氷が突き刺さる。
「くっそ……っ」
 棘を伸ばして攻撃を仕掛けてみるが軽いステップでそれは簡単に避けられた。やはりミモザの攻撃は遠距離では効果を発揮できない。
 一応ミモザにも一般的に誰にでも使える衝撃波を放つという遠距離攻撃はある。しかし魔法の撃ち合いになればMPが先に尽きるのはミモdha epaザである。正直ステラ相手では勝ち目がない。
 では一度後方に下がって遮蔽物を利用して背後から近づき不意打ってはどうか、と考えて周囲を見渡すが、周りには岩が点在するのみで岩と岩の間を移動する姿が見られてしまうため、不意打ちは困難そうだ。
 防御形態であれば攻撃を防ぐことだけはできる。しかし防御形態は強力ではあるが止まった状態でしか使えないという欠点があり、これも接近する手段には使えない。
(なら……っ)
 ミモザはチロを防御形態へと変える。ミモザの前方に攻撃を防ぐように棘の突き出した半球状の盾が現れた。
「あら?もう降参?」
 それを見てステラはふふっと花のように笑う。その青い瞳が喜びに輝く。
「いいのよ、ミモザ。貴方はわたしよりも弱いんだから」
 ステラがミモザを断罪するようにレイピアを突き出して見せる。氷の破片が狙いを定めるように前方へとぐっと寄った。
「強がらなくて、いいのよ」
 言葉と共に、光線銃が放たれた。
「……ぐっ」
 ミモザの盾はなんとかその攻撃を耐え忍んだ。そしてステラが次に氷の破片を放つその前の一瞬の隙に、
 ミモザは防御形態のまま、その棘を伸ばした。
「………っ!?」
 ステラはそれを避ける。しかし動揺したのか本来ならミモザ目掛けて放たれるはずの氷の破片は明後日dha epa dhaの方向へと飛んでいった。
 それを待っていた。
 正直防御形態での棘の伸縮など普通の攻撃よりも射程範囲が狭く貫通力もない、ただの一発芸みたいなものだ。しかしその一発芸でステラは今、光線銃も氷の破片もストックがない状態へと陥っていた。
「うおおおおっ!」
 雄叫びを上げてミモザはステラへと突進する。ステラが魔法を生成する前、その前に近づければミモザの勝ちだ。
(間に合え……っ)
 あと数歩でステラにメイスが届く、そのタイミングで、
「……っ、くそっ!!」
 ミモザはメイスで氷の破片を弾いた。次々と氷の破片がステラを守るように囲み、ミモザの元へと飛来する。ミモザはそれを弾きながら後退するが、
「………っ!」
(しまったっ!)
 間に合わなかった。その動揺が足に出た。ステラがそこら中に張り巡らしていた氷の残滓に足を取られてミモザはよろめく。
 それを見逃すステラではない。
「行け!」
 ステラの鋭い声とともに、氷の破片がミモザへと目掛けて発射された。
「ーーーっ!」
 ミモザは体勢を崩しながらも致命傷だけは避けようとメイスを前に突き出した。氷の破片が突き出したミモザの手に当たるかと思われた次の瞬間、
「………え?」
 目の前に土の壁ができていた。
 ミモザの隠れた魔法属性が危機に反応して目覚めたーー、わけがない。
「もういいでしょう」
 その爽やかな青年の声はミモザの背後から響いた。
「単なる兄弟喧嘩なら放っておきますが、犯罪マカ と は行為の隠蔽を暴力によって強要する行為は見逃せません」
 整えられた黒髪が風に揺れる。真っ直ぐな黒い瞳ははっきりと非難の意味を込めてステラのことを見据えていた。
 ジーンである。
 彼は手にした剣を構えながら尻もちをついたミモザを庇うように前へと歩み出た。
「ミモザさんは確かに金髪美少女らしからず、品性の欠片もないことを言うしやるし奇行に走りますが、けれど道理に反したことは致しません」
 ジーンはその剣の切先を敵意を示すようにステラへと向ける。
「貴方も同じく金髪美少女らしからぬ方のようですが、ミモザさんの方がよっぽどましです」
「…………」
 ミモザはいろいろと言いたいことはあったが、空気を読んで黙っていることにした。
dha epa dhaアントシアニンの効果クロムの効能クロム

(どうして、わたサプリメント マカ

(どうして、わたしが……)
 詰め所から出てステラは悲しげに目を伏せた。
 対応した騎dha epa士からは厳重注意を受けポリ ペプチドて帰されたのだ。ステラがどんなにその必要性を説明しても彼は聞く耳も持たなかった。
「君ねぇ、君のしようとしたことの重大さをわかっているのかい? 違法採取は窃盗罪というれっきとした犯罪だよ。特に塔の中の薬草は国をあゴーヤげて保護している貴重なものだ。君はまだ若いし悪気があるわけじゃなさそうだし未遂だったから注意で済ましてあげてるけどね、本当にやってたら刑務所行きだよ。止めてくれた妹さんに感謝しなさい」
 あろうことか心無いことを言ったミモザの方が正しいなどと言う。彼は不満そうにするステラに呆れた顔をすると、「それとね」とステラから没収した荷物の中から巾着袋を取ポリ ペプチドり出して机に置いた。
「それ……」
「これね、君、密猟もしてるよね」
「密猟だなんて……」
 言い募ろうとするステラを無視して彼は袋の口を開けて中身をひっくり返すようにして机に出した。じゃらじゃらと音を立てて大量の魔導石が机の上に広がる。
「指定された数を超えての狩猟行為は立派な密猟だよ。記録にないから今回が初犯だね? まぁ、初回はやはり厳重注意で解放することにはなってるけど記録には残るから。これから君の行為は常にマークされていると思いなさい」
「そんな、これには理由が……」
「理由?」
 彼は眉を亜鉛ひそめる。
「君の妄言は聞き飽きたよ。あのねぇ、世界は君を中心に回ってるわけじゃないの! 今はまだ若くて可愛いからそこまで痛々しさはないけどさ、もう15歳だろ? 成人してるんだからそろそろ現実見ないと! これに懲りたらもうこういうことはしないようにね! 次は牢屋に入ることになるからね!」
 ステラの言葉を遮って彼はそう言うと会話を終わらせた。ステラに書類のサインを促し、書いたのを見届けてステラのことを部屋から追い出すと「はい、じゃあ2度目はないからね! 帰っていいよ!」と言い捨ててせかせかと立ち去ってしまう。
 他にどうすることも出来ず、ステラはすごすごと出てきたところだ。
「ステラ……っ!」
 ひと足先に釈放されていたのだろう。アベルがステラに気づいて駆け寄ってきた。その見慣れた姿にステラはほっと息をつく。
「アベル、大丈夫だった?」
「俺はゴーヤまぁ、状況を確認されただけだから」
 アベルはなぜか言いづらそうにもごもごと話した。
 確かにアベルはあの時見ているだけだった。けれど全ての会話を見て聞いていたのだ。きっとステラのことを擁護してくれたことだろう。
「あの人、全然わたしの話を聞いてくれなかったの。額面だけ見てわたしのことを悪いって決めつけて……。失礼しちゃうわ」
 そこまで言ってステラはアベルの反応を待ったが、予想に反してアベルはなんの相槌も打ってくれなかった。見ると彼は硬い表情をして押し黙っている。
「アベル?」
「ステラ、犯罪行為はダメだ」
 諭すように、説得するように丁寧にアベルは話す。
「どんな理由があっても違法な行為が咎められるのは当然のことだ。咎められることを覚悟した上で、それでもどうしてもそうしなければならないと言うのなら俺にはそれを止められない。けどそうじゃないなら、咎めるみんなが悪いと思ってるなら、それは間違いだ、ステラ」
「アベル……」
 ステラは目を細めた。
「やっぱり、クロムの効能貴方もミモザの味方なの?」
「違うって言ってるだろ!!」
 反射的に怒鳴った後で、彼はそれを悔いるように黙り込む。ややして苦しげに拳を振り上げ、けれどそれでどこかを叩くこともできずに力無く手をおろした。
「どうしてそうなるっ。俺は、俺はっ! お前のためを思って……っ。ステラ、お前はすごいよ、優秀だ。けどだからといって何をしてもいいわけじゃない。それにそろそろ気づいてくれ……っ」
「……わたしが間違ってるって言うの?」
 アベルはのろのろと力無く顔をあげた。そうして疲れ果てた様子で、けれど何かを決心したようにゆっくりと首肯した。
「そうだ」
 噛みしめるように、振り絞るような声で言う。
「お前は、間違っている」
 ステラは何も答えなかった。
サプリメント マカ亜鉛の効果マカ と は

(どうして、わゴーヤ

(どうして、わたしクロムの効能マカが……)
 詰め所から出てステラは悲しげに目を伏せた。
 対応した騎士からは厳重注意を受けて帰されたのだ。ステラがどんなにその必要性を説明しても彼は聞く耳も持たなかった。
「君ねぇ、君のしようとしたことの重大さをわかっアントシアニンているのかい? 違法採取は窃盗罪というれっきとした犯罪だよ。特に塔の中の薬草は国をあげて保護している貴重なものだ。君はまだ若いし悪気があるわけじゃなさそうだし未遂だったから注意で済ましてあげてるけどね、本当にやってたら刑務所行きだよ。止めてくれた妹さんに感謝しなさい」
 あろうことか心無いことを言ったミモザの方が正しいなどと言う。彼は不満そうにするステラに呆れたクロム顔をすると、「それとね」とステラから没収した荷物の中から巾着袋を取り出して机に置いた。
「それ……」
「これね、君、密猟もしてるよね」
「密猟だなんて……」
 言い募ろうとするステラを無視して彼は袋の口を開けて中身をひっくり返すようにして机に出した。じゃらじゃらと音を立てて大量の魔導石が机の上に広がる。
「指定された数を超えての狩猟行為は立派な密猟だよ。記録にないから今回が初犯だね? まぁ、初回はやはり厳重注意で解放することにはなってるけど記録には残るから。これから君の行為は常にマークされていると思いなさい」
「そんな、これには理由が……」
亜鉛 サプリ「理由?」
 彼は眉をひそめる。
「君の妄言は聞き飽きたよ。あのねぇ、世界は君を中心に回ってるわけじゃないの! 今はまだ若くて可愛いからそこまで痛々しさはないけどさ、もう15歳だろ? 成人してるんだからそろそろ現実見ないと! これに懲りたらもうこういうことはしないようにね! 次は牢屋に入ることになるからね!」
 ステラの言葉を遮って彼はそう言うと会話を終わらせた。ステラに書類のサインを促し、書いたのを見届けてステラのことを部屋から追い出すと「はい、じゃあ2度目はないからね! 帰っていいよ!」と言い捨ててせかせかと立ち去ってしまう。
 他にどうすることも出来ず、ステラはすごすごと出てきたところだ。
「ステラ……っ!」
 ひと足先に釈放されていたのだろう。アベルがステラに気づいて駆け寄ってきた。その見慣れた姿にステラはほっと息をつく。
「アベルdha epa、大丈夫だった?」
「俺はまぁ、状況を確認されただけだから」
 アベルはなぜか言いづらそうにもごもごと話した。
 確かにアベルはあの時見ているだけだった。けれど全ての会話を見て聞いていたのだ。きっとステラのことを擁護してくれたことだろう。
「あの人、全然わたしの話を聞いてくれなかったの。額面だけ見てわたしのことを悪いって決めつけて……。失礼しちゃうわ」
 そこまで言ってステラはアベルの反応を待ったが、予想に反してアベルはなんの相槌も打ってくれなかった。見ると彼は硬い表情をして押し黙っている。
「アベル?」
「ステラ、犯罪行為はダメだ」
 諭すように、説得するように丁寧にアベルは話す。
「どんな理由があっても違法な行為が咎められるのは当然のことだ。咎められることを覚悟した上で、それでもどうしてもそうしなければならないと言うのなら俺にはそれを止められない。けどそうじゃないなら、咎めるみんなが悪いと思ってるなら、それは間違いだ、ステラ」
「アベル……」
 マカ と はステラは目を細めた。
「やっぱり、貴方もミモザの味方なの?」
「違うって言ってるだろ!!」
 反射的に怒鳴った後で、彼はそれを悔いるように黙り込む。ややして苦しげに拳を振り上げ、けれどそれでどこかを叩くこともできずに力無く手をおろした。
「どうしてそうなるっ。俺は、俺はっ! お前のためを思って……っ。ステラ、お前はすごいよ、優秀だ。けどだからといって何をしてもいいわけじゃない。それにそろそろ気づいてくれ……っ」
「……わたしが間違ってるって言うの?」
 アベルはのろのろと力無く顔をあげた。そうして疲れ果てた様子で、けれど何かを決心したようにゆっくりと首肯した。
「そうだ」
 噛みしめるように、振り絞るような声で言う。
「お前は、間違っている」
 ステラは何も答えなかった。
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