さて、第一王アントシアニン

 さて、第一亜鉛の効果王子アズアントシアニンレン・アルタイル・アゼリアはステラの攻略対象のうちの1人である。
 ただし、『バッドエンドの扱いの』という注釈がつく。
 これには三つ理マカ サプリ由がある。
 一つ目はこのアズレン王子が『誰も攻略できなかった際に救済措置』として結ばれる相手だからである。実はこのアズレン王子、ゲーム中に仲を深めるようなイベントは存在せず、お話の中にちょこちょこ登場する脇キャラである。通常の乙女ゲームでは条件を満たせず誰も攻略できなかった場合は誰とも結ばれないエンドが存在したりするが、このゲームではその際にお情けとしてこのアズレン王子マカと結ばれるのだ。つまり何もせずにだらだらしていると結ばれるお相手ということである。
 二つ目はこのアズレン王子、婚約者がいてそのお相手が正妃に内定している。つまりステラは側妃として迎えられるのである。これは両思いを目指すプレイヤーとしては気に入らないだろう。
 そして三つ目、これはーー
 音楽とともに2人の人物が入場してきた。1人は細身の女性である。紫がかった銀髪を緩やかに結い上げ深い翡翠色の垂れ目をした、たおやかな女性である。彼女は群青色の美しいドレスをdha身に纏い、物静かな風情で立っていた。
 そしてその隣には金髪碧眼のマッチョがいた。
「ふんっ!」
 おもむろにそのマッチョがマッスルポーズを取ると胸元のボタンがブチィッと音を立てて弾け飛ぶ。見事な大胸筋が露出した。
 健康的に日焼けした肌は何かのオイルを塗っているのかテカテカしている。
「皆の衆、本日はよくぞ集まってくれた!」
 マッチョは別のマッスルポーズへと姿勢を変えた。
「今日ここで!私はエスメラルダを婚約者とすることを皆に誓おう!!」
 その満面の笑みを浮かべる口で、白い歯がきらりと光る。
 しばらく会場のみんなは沈黙した。その後我に返ると自分達の役割を思い出し、盛大な拍手をした。
「ありがとう、ありがとう」アントシアニン
 にこにことマッチョこと、アズレン王子が手を振る。
 ーーこれが三つ目の理由。王子は筋肉キャラだった。
 今日って王子の婚約披露宴だったのか、とミモザはやっと状況を理解した。

 ホールには穏やかな音楽が流れていた。皆それぞれ歓談したり、食事や飲み物を口に運んだりとその場の空気を楽しんでいる。
 王子達へと挨拶は一組ずつ呼ばれて行うらしく、ガブリエルは「呼ばれたから行くわ」とオルタンシア教皇が呼ばれたタイミングでいなくなってしまった。
 ぼんやりと眺めているとこちらに駆け寄ってきた若い使用人が「次です」と囁いて王子の元へと先導するように歩き始めた。
 当たり前のようにレオンハルトが腕を差し出すので若干「僕も行くのか……」と内心思いつつその腕に手を添えてミモザも歩いて着いていく。
 隣を歩くその顔を横目でdha epaちらりと見上げると、一応その表情は穏やかな笑みを浮かべていたが、目が死んでいた。
(……苦手なんだろうなぁ)
 その表情を見て悟る。基本的にはローテンションな人だ。あのようにハイテンションな人は不得手なのだろう。ちなみにミモザは人付き合い全体が不得手だが、ハイテンションな人は嫌いではない。
 というよりはあの立派な筋肉が気になる。
(どうやってあそこまで育てたんだろう……)
 ぜひ教えてもらいたいものだ、と思うがそんな不敬は許されないだろう。
「おお!よく来たな!レオンハルト!!」
 あれこれと考えていると、まだその目前まで辿り着いていないのに馬鹿でかい声が鼓膜を叩いた。
「お前の顔が見れて私は嬉しいぞ!!」
「……俺もです。殿下」
 距離にして5mはありそうな遠くから叫ばれてレオンハルトは一瞬嫌そうにしながらもすぐに笑みを取り繕い、足早にその目の前へと馳せ参じる。
 そのまま騎士の礼を取るのに、ミモザも慌てて真似しようとして思いとどまった。
(危ないっ)
 今はドレスを着ているのだと思い出し、すんでのとサプリメント マカころで淑女らしくカーテシーをして見せた。
 レオンハルトの付けてくれた教師は淑女としての作法も色々と教えてくれたが、所詮は付け焼き刃、油断するとうっかり忘れてしまう。
 こっそり冷や汗をかいていると「おお!」と頭上から歓声が聞こえた。
「それが噂の弟子か!!くるしゅうない!面をあげよ!!」
「はっ」
 レオンハルトが顔を上げるのに合わせてミモザも上げる。目の前で見る筋肉の塊はなかなかに迫力があった。身長こそレオンハルトの方が高いものの、筋骨隆々と盛り上がったその体躯はその肉感ゆえに圧迫感がすごい。心なしか彼の周辺だけ温度が2、3度高い気もする。
 思わずまじまじと見つめてしまうミモザに、彼はその無礼を咎めることなくにこりと笑った。
「私に何か気になるところがあるか?」
「筋肉が……」
「うん?」
「とても美しいと思いまして」
 彼はぽかんとした後、弾けるように笑い声を上げた。
「そうか!!そういった感想はなかなか稀だ!」
「殿下、笑いすぎです」
 側で控えていたスキンヘッドにサンタひげをした男性が静かに首を横に振って言う。彼は宰相のオーティスだと先ほどガブリエルが教えてくれていた。その淡い水色の瞳は呆れている。
「名は何と言う」
 宰相を無視して続けられた言葉にミモザは慌てるマカ サプリ。そういえば名乗るのもまだであった。
「失礼致しました。レオンハルト様の弟子のミモザと申します」
「うむ!ミモザか!!先ほどはなかなかの余興であった!!」
「は?余興……?」
 溌剌とよくわからないことを褒めるアズレンに、レオンハルトは渋い表情で「やはりあれは殿下の差し金でしたか」と告げた。
「あれ?」
「先ほど君のことを睨んでいる女性がいただろう」
 レオンハルトの言葉にああ、と思い出す。確かに2人ほど目についた。彼女達がアイリーンとセレーナという名の伯爵令嬢なのだと、やはりガブリエルが教えてくれたのは記憶に新しい。
「あの2人は犬猿の仲で有名でな。余程のことがない限りは2人そろって同じパーティーに呼ばれることはない。わざと呼んだんだ、ここにいるアズレン殿下が」
 思わずアズレン殿下の顔を見ると彼はにやりと笑った。
「あの2人はレオンハルトを取り合っていつも派手な喧嘩を繰り広げているのだ」
 その言葉にミモザはレオンハルトの顔を見る。彼は眉間に皺を寄せたまま黙っている。
「悪趣味ですよ、殿下」
 代わりに宰相がぼそりと苦言を呈した。
「いやぁ、見事な流れであった!2人の喧嘩からのミモザ嬢の登場!!まるでよく出来た喜劇だ!いやいやあそこまで真に迫った表情は劇場では見られんな!」
「殿下」
 咎める宰相に王子は「いいではないか!」と呵呵と笑った。
「我々王族は国民を守るための防衛システムのようなものだが、多ゴーヤ少臣下をからかうくらいは許してもらわねばな!政務をする気もなくなるというものだ!!」
「不謹慎です」
 宰相は渋面だ。
「いやしかしミモザ嬢。貴方もなかなか良い筋肉だ。普段はどのようなトレーニングを?」
 気まぐれな気性の持ち主なのか、彼は唐突に話題を変えた。見事なマッスルボディの持ち主にふいに筋肉を褒められて、ミモザは思わずぱっと頬に朱を散らす。
「え、えっと、殿下のトレーニングには敵わないかと思われますが、一応筋トレは一通り……」
 もじもじと告げる。
「なるほど、いやしかし実用的な筋肉だ。トレーニングだけではあるまい」
「えっと、そのう、鈍器を少々振り回す程度でしょうか」
「鈍器!素晴らしい!私はよくバトルアックスを振り回しているぞ!!」
「素敵です」
 ミモザは大真面目に頷いた。2人の間には筋肉をとおして通じ合う、信頼に似たなんらかの感情が生まれつつあった。
「のう」
 しかし思わず握手をしかけた2人の間にずずい、と割り込む声がする。そちらを見ると婚約者であるエスメラルダがミモザをじっとりと睨んでいた。
「のう、そち、今のは聞き間違いかの」
 彼女はゆっくりと数歩前に出ると威圧するようにミモザに顔を近づける。
「わらわの勘違いでなければ、今そなたはわらわの将来の夫をたぶらかしたかの?」
 氷のような視線である。ミモザは震え上がった。
「め、めっそうもないです!」
「ほう?ではどういうつもりじゃ」
「そ、その、素晴らしい筋肉の持ち主なので、憧れと申しますか……」
 その返答に彼女はその整った眉根を寄せた。
「むぅ、まさかこのよdha epa dhaうな変態筋肉だるまに興味のあるおなごがおるとは……、盲点じゃった」
「今変態筋肉だるまって言いました?」
 宰相が尋ねるがそれは無視された。
「まさかそなた、我が将来の夫が好みだなどと申すまいな」
 ミモザはぶんぶんと首を横に振る。しかし彼女は納得できないらしい。そのままぐいぐいとミモザに詰め寄る。
「では、どのようなおのこが好みじゃ。もうしてみぃ!」
「え、えーと、」
 ぐるぐると思考が空転する。結果、一番最初にに思い浮かんだ相手は、
「れ、レオン様です!」
 だった。
 エスメラルダはむぅ、と唸ると「我が将来の夫とはまるで違うようじゃな」と頷いた。
「ではまぁ、許してやろう」
「あ、ありがとうございます」
「しかしゆめゆめ忘れるでないぞ。我が将来の夫に手を出してみよ」
 彼女は夫の隣へとゆっくり戻るとミモザを見下ろして胸を張った。
「そなたのことは、ほっぺたをぐりぐりする刑に処す」
「は、はぁ」
 思ったより可愛らしい刑だ。
「焼けた鉄での」
「絶対に手を出しません!!」
 前言撤回、えげつない刑だった。
「はっはっはっ!すまんな、ミモザ嬢。我が将来の妻は少々嫉妬深いのだ!!」
 すすす、と彼女は殿下に近づくとそのまま彼の肩へとしなだれかかった。
「そなたがわらわにつれないのが悪いのではないか」
 その顔は恋する乙女そのものだ。
「よしよし!可愛いやつめ!はっはっはっ!」
 快活にそう言い放った後、アズレンは面白がるようにミモザとレオンハルトを見てにやりと笑った。
「しかしまぁ、おかげでめずらしい奴の面白い顔が見れた。感謝するぞ、ミモザ嬢」
「面白い顔?」
 首を傾げるミモザの横で、最初に話して以降はずっと無言で佇んでいたレオンハルトは誤魔化すように咳払いを亜鉛 の サプリした。
クロムの効能ゴーヤ チャンプルークロムゴーヤ

 髪の毛をわしゴーヤ

 髪の毛をわし掴まれたアントシアニンの効果dha epa dha
「……いっ!」
 声をあげるが止まればどんな目に遭うかわかからない。ぶちぶちと引き抜かれる音にまかせてミモザは走り続ける。
「はぁっ、はぁ……っ」
 また石が飛んできて足や背中、肩などに当たる。
「……あっ!」
 クロムちょうど踏み出した足に投げられた石があたり、ミモザは転んでしまった。手に持っていたランチボックスが地面に転がる。
 ミモザは地べたに座り込んだまま周囲を見渡した。お昼時のせいかみんな家にこもっているのか、それとも畑へと出かけてしまっているのか、人影がない。
(誰か……!)
 叫びたくても声が出ない。恐怖のせいだ。ミモザは弱い。前回は完全に身ゴーヤ チャンプルー構えており、やることをあらかじめ決めていたからなんとかなったが、ふいに訪れた恐怖に恐慌状態に陥っていた。
「やっと捕まえたぞ」
 びくりと身を震わせる。振り返るとアベルが怒りに目を燃やして立っている。
「てめぇ、この間はよくもやってくれたな!」
 そのまま至近距離から手に持っていた石をミモザへ叩きつける。
「……っ!」
 鋭く尖った石はミモザの目の上あたりへとあたり、皮膚を切って血が流れた。
「なんとか言えよ!お前のせいで俺たちは全部めちゃくちゃだ!」
 ミモザのせいではない。自業自得だと言いたいのに、ミモザの喉は震えた呼吸をか細く吐き出すばかdhaりで声が出ない。
 学校生活の数年間でミモザの中に植え付けられた恐怖がミモザの身体を動かなくしていた。
 そこからはもうリンチだった。4人に囲まれて石を延々と投げつけられる。
 ミモザは頭を守ってうずくまるしかできない。
 ミモザの前方に家があった。声をあげれば届きそうなのに届かない。誰か出てきてくれないかと願うがそんなに都合の良いことは起こらない。
 いつだってそうだった。いままでずっと。
 閉じられた教室の中で誰も助けてくれなかったように、今も誰も助けてくれない。
 変わったつもりだったのに、ミモザは何も変わらずうずくまるしかできない。
(誰か)
 手を地面へと這わせる。何かに縋りつきたい。
(誰か来て……っ)
 気づいて欲しい。ミモザの存在に。
 涙で歪んだ視界に、転がるランチボックスがうつアントシアニンの効果った。
 守らなきゃ、漠然と思う。これを届けなければいけない。だってあの人が待っている。
 ミモザを無価値ではないと初めて言ってくれた人がお腹を空かせて待っている。
「レオン様……」
「え?」
 異母兄の名前にアベルの手が思わずというように止まる。弾幕のように飛んできていた石が一瞬止まり、その隙にミモザは地面の石を掴んだ。
「な、なんだよ……」
 そのまま手を振り上げたミモザに怯むようにアベルは後退る。
 そのアベルを無視して背中を向けるとミモザは石を投げつけた。
 前方に見える、家の窓へと向かって。
 ガシャンッ、と派手な音と共にガラスが割れる。
「……なっ!」
「こらぁ!クソガキども!何してくれやがる!!」
 家主の男は窓の割れた音に家の奥から姿を現し、状況を見て取って怒鳴った。
dha epadha epaマカ

 朝、ステラが陽マカ サプリ

 朝、ステラが陽ポリ ペプチドの光に目を覚ますと小鳥が囀っていた亜鉛 の サプリ。隣で寝ていたティアラが気づき、その鳥へと飛び掛かる。
「おはよう、ティアラ」
 鳥を仕留めたティアラは可愛らしい顔でなーん、と鳴いた。

 母がパンを薄く切ってトースターへセットするのを眺めながら、ステラはミルクを飲んでいた。以前だったらここに妹もいたはマカ と はずなのに、今はいない。
(理不尽よね)
 ステラは思う。今頃ミモザは王都で優雅に暮らしているのだ。
(いじめられたのがわたしだったら良かったのに)
 そうしたらレオンハルトが気にかけるのはステラで、王都にいるのもステラだったはずだ。アベルの行為は最低だが、受けた被害以上のものをミモザは享受しているように思う。
「どうしたの?ステラ」
 ぼんやゴーヤりしているステラにミレイは訊ねる。それに明るく笑い返してステラは「ううん、なんでもないの。ただちょっと、ミモザがいなくて寂しいなって思って」と返した。
 それに母は同意するように頷いた。
「そうよね、ミモザとこんなに離れるなんてママも初めてで寂しいわ」
 渡されたトーストにジャムをたっぷりと塗る。ミモザも母も何故かいつも薄く塗りたがるが、ステラには理解できない趣味だった。
 ミモザの身につけていたリボンを思い出す。レオンハルトにもらったと言っていたあのリボン。ステラが聞いた時にはわざとはぐらかして答えなかっアントシアニンの効果た。
(教えてくれれば良かったのに)
 そうしたらミモザがレオンハルトに会う時に同行できた。そうしたらきっとレオンハルトもステラを気にかけてくれたに違いない。
(ミモザは意地悪だわ)
 でもわたしはお姉ちゃんだから許してあげないとね、とステラは憂鬱にため息をついた。

 彼を見かけたのは偶然だが必然でもあった。秋休みは収穫の手伝いで忙しい。近所付き合いで他所の畑も手伝うため、家が近いアベルと会うのは予想できたことではあった。
「……よぉ」
 アベルは気まずそうに手を挙げる。
「おはよう、アベル」
 それにステラは明るく笑いかけた。彼がほっと息を吐くのがわかる。
 ステラはアベルのことが好きだ。藍色の髪に切長の金色の瞳、彼はこの村で一番格好いい男の子だ。
(けれど、レオンハルト様には劣る亜鉛わ)
 今思い出してもうっとりしてしまう。堀の深い顔立ちに鍛えられた体躯、そして穏やかで洗練された立ち振る舞い。どれを取ってもステラが今まで見てきた人達の中で、彼に敵う人はいなかった。
 アベルは「その、ごめんな、嘘ついて」とぼそぼそと告げる。先日のことを言っているのだろう。
 本当はステラは嘘が嫌いだ。自分に嘘をつくだなんて軽んじられているようで不愉快である。しかし今この村で彼はミモザをいじめたことで非常に苦しい立場であった。
(ここで責めるのは可哀想ね)
 可哀想な人には優しくしてあげなくてはならない。だからステラは「いいのよ、反省してくれたんでしょ」と優しく微笑んだ。
 彼はステラの微笑みに見惚れるように頬を染める。その反応に気を良くして「今日はお手伝い?偉いわね」と会話を続ける。
 アベルは頭をかきながら「お前もだろ」と言った。
「ミモザは?」
「あら、知らないの?ミモザは王都よ。レオンハルト様とゴーヤ一緒にいるの」
「は?なんで!?」
 アベルが驚きに目を見開く。その驚きにはステラも心の底から同意した。
「びっくりよね。レオンハルト様はアベルがやったことを気にしているみたい。ミモザも気を使って断ればいいのにご厚意に甘えて……。本当にしょうがない子なんだから」
 ため息を吐く。アベルはものすごく複雑な顔をして「兄貴……」と呟いた。
「きっと今頃王都で遊んでるんじゃないかしら?」
 本当に羨ましい。ステラはこんな所で畑仕事をしているというのに。
(早く学校を卒業してわたしも王都に行きたいわ)
 田舎生まれのステラにとって王都は憧れだ。ステラだけじゃない。みんな若者は王都に行きたがる。けれどそれは生半可なことではなかった。王都に行ったはいいものの、夢破れて出戻ってくるなどざらにある話だ。しかしステラには失敗のビジョンなどは見えない。だってステラはすべてにおいて人より生まれつき優れていた。いつだってステラは特別で何かを諦めたことなどなかった。だからきっと多少の時間はかかるがステラは王都に行くし、レオンハルトはステラに振り向いてくれるはずだ。
 アベルはとても苦しそうに「ミモザにも、悪かったと思アントシアニンの効果ってるよ」と言った。
「あれから母さんとたくさん話し合って、隣町のカウンセラーの先生のところにも行って話を聞いてもらって、悪かったのは俺だったと思ってる。先生に言われたんだ、俺は物事の受け取り方を間違ってたんだって」
「そう……」
 可哀想に、とステラは思う。アベルは間違ってしまったのか。けれど劣っている人にも優しくしてあげなくては、とステラは考える。
 ミモザもそうだ。あの子は1人じゃ何もできない。何も正しく決められない。だからステラが導いてあげなくてはならない。
(だってあの子はわたしの可愛い妹だもの)
「誰にでも考え方の癖ってのがあって、皆違うらしいんだ。俺はそれが悪い方悪い方に受け取る癖があって、でもそれはものすごく異常ってわけじゃなくて誰にでも起こりうることだって。人に迷惑をかけない、自分を苦しめない考え方に少しずつずらしていければいいんだって」
「そうなの」
 ステラは慈悲深く微笑んだ。
「頑張ってるのね、アベル」
「……っ!ああ!そうなんだ!」
 アベルは意気込んだ。
「俺、俺さ!ダメな奴だけど、間違っちまったけど、でも頑張るからさ!頑張って、お前に相応しい男になるからさ!」
 そこでぐっと押し黙る。ステラは黙って続きを待った。
「応援、してくれるか」
「もちろんよ、アベル。頑張って」
 アベルは顔を喜色に染めると「おう!亜鉛 サプリ おすすめ」とガッツポーズを決めた。

 休憩のための水筒とお弁当をミレイは木陰へと並べていた。遠くでステラとアベルが話しているのが見える。アベルに対して複雑な気持ちはあるが、それを問答無用で咎めるような馬鹿な真似はしたくなかった。
「おやミレイさん、精が出るねぇ」
 今収穫をしている畑の持ち主の老人が話しかけてきた。ミレイは「いえいえ」と微笑む。彼はミレイが先ほどまで見ていた方向を見て「ステラちゃんとアベル君かい」と納得したように頷いた。
「大変だったみたいだねぇ」
「ええ……」
「でもあんまり責めちゃいけないよ。まだあの子は子どもだ。それに変に関わって周りに妙な噂をたてられるのも嫌だろう」
「まぁ」
 彼が心配して言ってくれているのはわかるがミレイの顔は曇った。田舎の村だ。すぐに噂は巡る。アベルだけでなくきっとミモザも色々と言われているのだろうと思うと悔しくてならない。
「まぁ、また同じようなことがないようにワシも見とくからね。あまり気負わんようにね。そういえばミモザちゃんはどうしたんだい?」
「ミモザは王都に行ってるんですよ。親切な方の家に下宿させてもらってお勉強をしに行ってるんです」
 老人の質問にミレイは極力曖昧に答える。彼は「それはいい」と頷いた。
「ミモザちゃんも今はこの村に居づらいだろう。息抜きするとええ」
 ミレイは警戒した自分を少し恥じる。彼は本当に他意なく純粋にミレイ達を心配してくれているだけだったらしい。
「でもじゃあ、手伝いが今年は少なくて大変じゃないかい?」
「まぁでも、ミモdha epa dhaザも遊びに行っているわけじゃないですから」
 ミレイは苦笑する。
「下宿先でお仕事もしているみたいで、この間お金を送ってきてくれたんですよ。迷惑かけてるからって。そんなことしなくていいのに」
「いい子だねぇ。ミレイさんが優しいお母さんだからミモザちゃんもステラちゃんもいい子に育ったんだねぇ」
「そんな……、ありがとうございます」
 ミレイは泣きそうになって俯いた。ミモザのいじめに気づかなかった自分がそんなことを言われていいはずもないが、とても嬉しい言葉だった。
ゴーヤ亜鉛 サプリマカ と はdha epa

「疲れた……」 アントシアニンの効果

「疲れた……」
 よろよろとミモザはレオンハルト亜鉛 サプリ邸の扉を開dhaけた。
 なんだか色々と濃い時間を過ごしてしまった。
 とりあえず顔に塗りたくった染料は泳いでいる間に落ちたが、可能ならお風呂に入ってすっきりしたいところでdha epaある。
(まずはお風呂、次に何か飲んで、ベッドで寝る)
 やりたいことを夢想しながらふらふら歩いていると、
「ミモザ」
 背後から声がかけられた。
「レオン様」
 今は流石に修行する気にはなれないなと思いつつ振り返ると、彼のそばには白い軍服に身を包んだ教会騎士が立っていた。
 嫌な予感がする。猛烈に。
 そし亜鉛てそんな予感ほどよく当たるものである。
「ちょうどいいところに帰ってきたな。これから教会に一緒に来てくれ」
「えっと、何があったんですか?」
 恐る恐るミモザは尋ねる。それにレオンハルトはいかにも不愉快といった表情で答えた。
「ジーン君とマシュー君が失踪した。おそらくは君の姉、ステラ君のもとにいる」
 ミモザはあんぐりと口を開けた。

「皆さんお聞き及びかとは思いますが、先だっての精神汚染事件の被害者であるジーン君とマシュー君の二名が失踪しました」マカ サプリ
 そうオルタンシアは重々しく口を開いた。
 場所はいつも通りのオルタンシア教皇の執務室である。もはや恒例かと思われるメンバーがそこには揃っていた。すなわち、ミモザ、レオンハルト、ガブリエル、フレイヤである。
「それと同時に、彼らと思しき人物がステラ君と思しき人物と連れ立って歩いている姿が目撃されています。証言では彼らはとても仲睦まじそうな様子だったとのことです」
 ダンッと壁を叩く音がした。フレイヤだ。
 彼女は悔しげな顔で嘆いた。
「ジーン! あれほど変な物は食べないようにと言ったのに!」
「妙だな」
「ええ、妙な話です」
 ガブリエル、オルタンシア両名dha epaはそれに冷静に告げる。
「一度目はともかく、二度目です。彼らも馬鹿じゃない。差し出されたものを食べるとは思えません」
「何か別の手法で摂取させられたということですか」
 レオンハルトの問いに、
「その可能性が高いでしょう」
 オルタンシアは頷いた。
(別の手法……)
 ミモザは考える。
(一体どんな?)
 あれは経口摂取以外の方法がないと前回の時にオルタンシアから聞いていた。それもそこそこの量を取らなければならない。そのためにバーナードは飴という形で砂糖で味を誤魔化して食べやすくしたのだろうとのことだった。
「何にせよ、このまま放っておくわけにはいきません」
「俺が行きましょう」
 その言葉にレオンハルトが前に進み出た。
 金色の瞳が、静かにオルタンシアを見つめる。
「確実に捕えるために」
「……そうですねぇ」
「僕にも行かせてください!亜鉛 サプリ おすすめ!」
 決まりかけそうな気配に、慌ててミモザは挙手して訴え出た。
 姉の関わることで除け者になるなどごめんだ。
(それになにより)
 ミモザはレオンハルトのことを心配げに見上げる。
 ここで何もせず、万が一のことがあっては悔やむに悔やみきれない。
 レオンハルトが戸惑うように彼女を見た。
「ミモザ、しかし……」
「僕にも行かせてください。必ずお役に立って見せます」
 じっと確かめるように金色の瞳がミモザを見下ろす。それに負けじとミモザは見返した。
 しばらく二人は見つめ合う。それは根比べにも似ていた。
「………いいだろう」
 諦めたように先に目を逸らしたのはレオンハルトだった。彼はふぅ、と息をつく。
「レオン様!」
「ただし」
 喜びに口元を緩めるミモザにレオンハルトは釘を刺す。
「俺の指示に従ってもらう。君のことだから大丈夫だとは思うが……」
「はい」 
 レオンハルトの言いたいことを察して、ミモザは静かに頷いた。
「貴方の指示に従います。足は引っ張りませんdha epa
「よし」
 レオンハルトは弟子の物分かりの良さに満足げに頷くとオルタンシアの方を向いて「我々で対応します」と告げた。
 それにオルタンシアが頷く前に、ずいっと割り込む人影がある。フレイヤだ。
 彼女は堂々とその豊かな胸を張ると「当然だけど、わたくしも行くわ」と宣言した。
「オルタンシア様」
 そして銀色の目を細めてオルタンシアに問いかける。
「洗脳を解く方法は、薬が自然に排出される以外にないのですか?」
「そうですねぇ」
 それは重要な質問だった。オルタンシアは難しい表情で記憶を探るように目を瞑る。
「……目には目を、歯には歯を、精神には精神を。強い精神的ショックを与えれば目を覚ます例があったと書物には書いてありましたね」
「わかったわ! 精神的ショックね!」
 フレイヤはその情報に鼻息荒く頷く。
(精神的ショックかぁ……)
 色々とやりようがありそうだな、とミモザも一つ納得するように頷いた。
亜鉛 の サプリアントシアニン亜鉛 サプリ

「難しいお話はdha epa

「難しいお話は終わったの?」
 その鈴の音を転亜鉛 サプリ おすすめポリ ペプチドすような声は突然降ってきた。
 母がその声の主を振り返る。
「ステラ」
「ごめんなさい。わたしも少しだけお話したいことがあって…」
 申し訳なさそうに恐縮して、けれど姿勢良く落ち着いたそぶりでその少女は微dha epa笑んだ。
 長いハニーブロンドが彼女の動きに合わせて優雅になびき、美しい晴れた空のような青い瞳が瞳を潤ませて微笑んだ。白いブラウスのワンピースが揺れる。
「妹を、ミモザを助けてくださってありがとうございます」
 ぴょこん、と可愛らしくお辞儀をする。
「ああ、当然のことをしたまでだ。礼を言われるようなことではないよ」
 気を削がれたような表情でレオンハルトは応じるゴーヤ。それにステラは気づいていないのか会話を続けた。
「いえ、おかげで妹は大きな怪我をせずに済みました。ありがとうございます」
(怪我、してるんだけどなぁ……)
 ミモザはぽりぽりともうすでに血が固まりかけている傷口を掻く。まぁ、大きくないと言えば大きくはない。しかし自分で言うならまだしも、人に言われるともやもやとしてしまう。
 この姉に言われると特に、である。
 傷一つなく美しいステラを見つめ、擦り傷と泥にまみれ髪もちりぢりになってしまったミモザは微妙な顔をした。
「怪我をする前に助けられなかったことをここは責める場面だよ、アントシアニンの効果ええと…」
 言い淀むレオンハルトに、
「ステラ、と申します」
 にこりと微笑んで彼女は言う。
「では、ステラくん。俺はレオンハルト・ガードナーと言う。こちらはレーヴェ」 
 レオンハルトが差し出した手を握り2人は握手を交わした。
「あ、わたしの守護精霊はティアラというんです。猫科で翼があるなんて、わたし達おそろいですね」
 そう、何故かはわからないが、ステラとレオンハルトの守護精霊は非常に似た造形をしているのであった。
 レオンハルトは翼の生えた黄金の獅子なのに対してステラは翼の生えた銀色の猫である。
 ティアラは紹介されたことが嬉しいのかなーん、と鳴いた。
(制作スタッフが猫好きだったのだろうか)
 なんにせよ、鼠であるチロにとってはどちらも天敵に違いない。
「そうか」
 ステラの台詞にレオンハルトは微笑まアントシアニンしげにふっ、と笑った。ステラの頬が桃色に染まる。その顔はまるで恋する乙女だ。
 それをミモザはげんなりとした表情で眺めた。
(ゲームにそんな描写あったっけ?)
 いや確かなかった、はずだ。ステラがレオンハルトに恋しているなどと。まぁ思い出せないことの多いミモザの記憶などそこまで頼りにはならないのだが。
「それでは俺はそろそろ」
 握っていた手を離し、レオンは言うと身を翻そうとした。
「……っ、あの!」
 その時、意を決したようにステラが声を上げた。その横顔は何かを決意したかのように凛として美しかった。
「なんだい?」
「わたしにも!修行をつけていただけないでしょうか!」
(げ)
 あまりにも恐ろしい展開にミモザは青ざめる。
 時間だけがミモザのアドバンテージなのだ。それがほぼ同時に、しかも同じ師匠から教えを受けるなど才能にあふれるステラに対してミモザは敵う要素がない。
 しかしそんな事情はレオンハルトには知ったことではないだろう。彼がその申し出を受マカ と はけることを止める権利はミモザにはない。
(どうしよう……)
 うろうろと視線を彷徨わせてそれは自然と自分の肩に腰掛けるチロへと着地した。
「チチ」
 その視線を受けるとチロは立ち上がり任せておけとばかりにサムズアップする。そのままおもむろに自分の背中から一際鋭い針を引き抜くと暗殺の準備は万端だぜ!と頷いてみせた。
「‥‥‥」
 ミモザは無言でそっとチロのことを両手でつつみポケットへとしまうとそのまま見なかったことにした。
 一方肝心のレオンハルトはというと決意みなぎるステラをみてふむ、と頷くと「では、これを君にあげよう」と一枚の紙に何事かをさらさらと書き込んで渡した。
 それを不思議そうに受け取るとその中身を見てステラの表情が曇る。
 ミモザにはその紙の中身が手に取るようにわかった。
 筋トレのメニューだ。
 ミモザにも渡されたそれがステラにも渡されたのだ。
 ステラはその紙の内容とレオンハルトを困惑したように交互に見ると「あのー」と口を開いた。
「わたしは精霊騎士としての修行をつけていただきたいのですが」
「もちろんだとも。精霊騎士には体力も重要だ。申し訳ないが俺はそれなりに忙しい立場でね。だから常に付きっきりで見てあげるということは難しい。あるdha epa dha程度の自主トレーニングをこなしてもらう必要がある。そのメニューを毎日継続して行うといい。きっと君の力になるだろう」
 その言葉にステラの表情は明らかに曇った。
 瞳にはわずかに失望の影がある。
「わたしでは、レオンハルト様に直接ご指導いただくには値しないということでしょうか」
 しゅんと肩を落とす姿はいかにも儚げで人の罪悪感を煽る風情があった。
 レオンハルトはその様子にわずかに拍子抜けをするような顔を見せたがそれは一瞬のことで、瞬きをした次の瞬間にはそれはいかにも誠実そうな真面目な表情へと切り替わっていた。
「そういうことではない。なんと言えば誤解がなく伝わるかな。君自身の価値がどうこうではなく物理的に難しいと言っているんだよ」
「すみませんでした。おこがましいお願いをしてしまって。ご迷惑をおかけするわけにもいきませんから、わたしは大人しく身を引きます」
 深々と丁寧に頭を下げる。
 そのしおらしい姿にこれは「いやいやそうじゃないんだ。君は何も悪くはない」と慰める場面だな、とミモザは白けた顔で眺めた。
 姉はこういうのが本当にうまい。本当に天然なのか計算なのか知らないが、相手の同情や気遣いを引き出して自分の都合の良いように物事を進めようとするのだ。
 ポケットの中で殺させろといわんばかりに暴れ回るチロのことを抑えながら、つまらなそうに目を伏せたミモザに
「そうかい。なら残念だが俺が君にゴーヤできることはないようだ」
 ばっさりと切り捨てるレオンハルトの声が響いた。
 思わず間抜けに口をぽかんと開けてレオンハルトの方を見る。
 ステラも予想外だったのか呆気に取られたような表情で彼を見つめていた。
 それににっこりと爽やかな笑みをレオンハルトは向ける。
 その笑顔は一点の曇りもなく美しく、まるで自分には一切の悪意も他意もありませんといわんばかりだ。
「君には君の進むべき道があるのだろう。いつか俺の元まで自力で辿り着くことを期待している」
 応援しているよ、といかにも善意100%の様子でステラの肩を力強く叩いてみせた。
(うわぁ)
 役者が違う。
 ミモザは舌を巻く。
 ステラのそれは無意識かもしれないがレオンハルトは明らかに意識的に無害を装って自身に都合の良い方向へと話を強引に軌道修正してしまった。
 たぶんステラの相手をするのが面倒くさくなったのだろう。
 そのまますぐに母のほうへと体ごと視線を向けると「では、先ほどのお話の通りにミモザくんのことはこれからは師として時々預からせてもらいますので」と話を戻した。
「本当に本日は弟が申し訳ありませんでした」
「そんな、いいのよ。レオンハルトさんのせいではないのだから。最初は強く責めるように言ってしまってごめんなさいね」
「いえ、また何かうちの弟やその他の子が問題を起こすようでしたらすぐに俺に連絡をください。しっかり対応をさせていただきますので」
 そう言ってきっちりと丁寧にお辞儀をしてみせる。母もお辞儀を返しつつどうか頭を上げてください。こちらのほうこそミモザをお願いマカ サプリします、と告げて話を締めくくった。
 結局ステラは驚いた表情のままレオンハルトが立ち去るまで再び口を開くことはなかった。
亜鉛 サプリゴーヤ チャンプルー亜鉛 の サプリ

 レオンハルトはゴーヤ

 レオンハルトは英雄である。
 国に被害をもたらす亜鉛 サプリボス精霊や狂化個体を撃ち倒し、隣国との親善試合で勝利を亜鉛 サプリ収めるなどの数々の手柄を挙げたことにより、平民にも関わらず聖騎士の称号とさらには爵位まで賜ったまさに実力ですべてを手に入れたサクセスストーリーの持ち主だ。
 つまりdha epa dha何が言いたいかと言うと、
 天才は人に物を教えるのに向かない。
 その事実をミモザは今実地で味わっている。

 彼は言った。
「まずは手本を見せよう」
 それはまぁ、いい。そしてさらにこう続けた。
「人間は追い詰められた時に本領を発揮する」と。
「ひぃーー!!」
 衝撃波がミモザの髪をかすめる。
「はっはっは!逃げてるだけじゃ修行にならないアントシアニンの効果ぞ!」
 かくして地獄の鬼ごっこの幕が開けた。

 再びレオンハルトの剣から斬撃が衝撃波として放たれる。ミモザはそれを死に物狂いで避けた。
「なにをしてる。同じように攻撃して相殺しろ」
(いや失敗したら死ぬんですが!)
 どうやらレオンハルト的にこの攻撃は見本を見せているつもりらしい。
(なにをしてるじゃない!)
 貴方のほうこそ一体『なにをしている!』と言いたい。
(言えないけど!)
 また衝撃波が放たれた。ミモザが隠れていた岩がチーズのように真っ二つにな亜鉛 サプリる。
 ミモザがあちこちの木や岩を盾にしたせいで周囲は大惨事だ。
(まずい……っ)
 遮蔽物が破壊され尽くし、盾にするものがなくなった。
 レオンハルトが犬歯を剥き出しにしてにぃ、と笑う。
「さぁ、防いでみせろ!」
(死ぬ)
 ひやりと冷たいものが体に走る。その時ミモザの身のうちに湧き上がってきたのはどうしてこんな目に合うのかというレオンハルトに対する理不尽な怒りだ。
 学校でいじめられている時も感じていた。もう傷つきたくない。傷つけられたくない。もう誰にも傷つけられるのはーー、
「いやだっ!!」
 その瞬間、一気に膜のような何かがミモザの周りに広がり、レオンハルトの斬撃を防いだ。
「……え?」
 手の中からメイスが消えていゴーヤる。目の前には棘が何本も突き出た半球状の透明な壁が広がっていた。
「防御形態か。なかなか硬そうだな」
 近づいてきたレオンハルトがそれを剣でガンガンと強度を確かめるように叩く。
「防御形態……」
 パッと思わずメモ帳を取り出して確認する。確かゲームの中でミモザが使っていたものだ。メモには正式名称がわからないので見た目から『ウニの盾』と書いていた。とりあえず使うことが出来たのでチェックをつける。
「なんだそれは?」
「……っ!」
 ミモザのメモ帳をレオンハルトは興味深そうに覗き見ていた。驚いている隙にメモ帳を取り上げられる。
「あっ、それは、なんというか、こういうのが出来たらいいなーっていうやつで!」
「ほぅ?」
 しげしげと内容を検分して、「よくできているな」と彼は頷いた。
「基本を抑えているし、どれも実現可能そうなものばかりだ」
「いやー、ははは……」
 そりゃそうだ。
 どれもゲームのポリ ペプチド中の『ミモザ』が使っていた技なのだから。
「印がついているのはもう出来ているものかな?」
「はい」
 ふむ、とレオンハルトは一つ頷くと「よくわかった」と言ってミモザにメモ帳を返した。
(何がわかったんだろう)
 嫌な予感がする。猛烈に。
「まずは防御形態のおさらいをしよう。一度できたからと言って満足してはいけない。いつでも自分の意思でできるようにならなければな」
 言っていることはごもっともだ。ミモザは頷いた。
「それからメモに書かれていた他の技に関しても可能になるよう協力しよう。ようはその技を出さねばならない状況に追い込めばいいんだ」
 その発言にはミモザは首をぶんぶんと横に振った。次に起きることの予想がついたからだ。
 しかし事態はミモザの予想を裏切った。悪い方向に。
 レオンハルトは笑顔でミモザのことをがしっと掴むと両足に縄を巻き始めた。
「あのー、これは……」
「先ほどので君は追い詰められれば本領を発揮できるということが実証された。しかしちょこまかと逃げ回られると面倒だからな。動けないようにしよう」
 そのまま剣を地面へと打ち付ける。一瞬で地面にぼ亜鉛こっと穴が開いた。煙がたっているところを見るに、おそらく蒸発したようだ。
 そこに縄で結えた両足ごと下半身を入れられて埋められた。
「あの、ご慈悲をいただけないでしょうか?」
 一応聞いてみた。
「これが俺の慈悲だとも」
 笑顔で返された。聖騎士というより魔王の笑みに見えた。
ゴーヤ チャンプルーマカ と はゴーヤ チャンプルー

 そこには美しいゴーヤ チャンプルー

 そこには美しい麗人が立っていた。
 背中まで真っ直ぐと伸びる銀の髪に月光を集めたdhaかのように輝くやや吊り目がちな銀の瞳、その身に真っ黒な軍服を纏う彼dha epa dha女は確かに美人だった。
 そして巨乳でもあった。
 ぽかん、とミモザは口を開けたまま固まる。そんなミモザに彼女は再度にこりと笑いかけた。
「好きかしら?」
 その凄みのある笑顔に思わずミモザはこくこくとマカ と は頷く。まぁ好きか嫌いかで言うと好きなので嘘ではない。
 彼女のたわわに実った胸を見て、それから自身の胸を見下ろした。12歳のミモザは年齢相応につるぺただった。
(悲しい)
 ついでに言うと双子にも関わらずステラの方がミモザよりも胸は大きかったりする。つまりミモザは胸の大きさでもステラに負けている。
(悲しい……)
 ずんと暗い表情で沈むミモザの頬を、チロは慰めるよう亜鉛の効果に両手で撫でた。そんな落ち込むミモザの姿を見て、女性はにんまりと微笑む。
「ねぇお嬢さん。わたくしに弟子入りをすれば、巨乳になるコツを教えてあ、げ、る」
「それって、ぐぇっ」
 その魅力的な提案に思わず釣られかけたミモザの襟首を掴んで引き止める手がある。レオンハルトだ。
 彼はミモザのことを猫の子のように襟首を掴むと、ずりずりと自分の元へと引きずり寄せた。
「人の弟子をくだらない方法で勧誘するのはやめてくれないか。マナー違反だ」
 じろりとその女性をにらむ。
「あらん、貴方のことだから弟子亜鉛 サプリなんて使い捨て程度に思ってるかと思ったら、案外可愛がってるのね」
「さてな」
 女性の揶揄にレオンハルトは素知らぬ顔で応じる。
 2人の目線の先にばちばちと幻の火花が見えた。
(うーん?)
 ミモザは首を傾げる。彼女の服装、あれは王国騎士団の制服である。教皇が王国騎士団の制服を着ているわけがないから彼女はきっとオルタンシア教皇ではないのだろう。その時、彼女の横に立つ少年と目が合った。さらさらの黒髪をきっちりと切り揃えた少年はその黒い瞳を細めて爽やかに笑いかけてきた。
 年齢はミモザと同じくらいだろうか。清涼飲料水のCMに出れそうなくらいの爽やかさだ。
 しばらく待ってみたが両者の睨み合亜鉛の効果いが終わる気配がなかったため、ミモザは少し考えてから口を開いた。
「レオン様は巨乳はお嫌いですか?」
「……巨乳はともかくあれはただのゴリラだ」
 憮然とした顔でレオンハルトは応じる。
「ひどいわゴリラだなんて。なんか言ってやってよ、ジーン」
 彼女は隣の爽やか少年に声をかける。彼は笑顔を崩さないまま答えた。
「先生がゴリラなのは否定できませんが、それはともかく僕の常識では金髪美少女は巨乳なんて単語は言わないので今の発言は聞かなかったことにします」
「おいおい全員クセが強すぎるぜ。まともなのは俺だけか?ちなみにお兄さんは胸より尻派だ」
「誰がお兄さんよ、ずうずうしい。おじさんの間違いでしょう?」
「あーん?自己紹介か?お、ば、さ、ん」
「いやぁ、元気なのはいいことですね」
 不毛な4人のやり取りを新たな声が遮る。それは静謐で落ち着いた男性の声だ。
「ですが皆さん、私の存在をお忘れではないでしょうか?マカ
 紫がかった黒髪をオールバックに撫でつけ、すみれ色の瞳をした壮年の男性が実は女性の背後に隠れていた執務机に腰掛けていた。
 元々細い目をさらに細めてにっこりと微笑んで、彼は「そろそろ本題に入りましょうか」と厳かに告げた。
 どうやら彼がオルタンシア教皇聖下らしかった。

「報告は以上です」
 ガブリエルは真面目くさった顔でそう締めくくった。それに教皇はうんうんと穏やかに頷いて「レオンハルト君は何か付け足すことはありますか?」と尋ねる。
「特には。しかしこの異常は徐々に頻度が増えている様子があります」
「そうですね。とても気がかりです。しかし原因をつかめていない以上、対症療法を続ける他ないでしょう」
(ううっ)
 思わず罪悪感で胸を押さえる。ミモザがちゃんと前世の記憶を思い出せれば原因は判明するのだ。
 今わかっていることは3年後に姉がそれを解決するということだけだ。
(いや、待てよ?)
 ミモザの記憶にはとんでもなく強い狂化個体をステラが仲間と力を合わせて倒すシーンがある。しか亜鉛しその原因を取り除いていたかまでは定かではない。
(もしかして、3年経っても解決しない可能性がある?)
 だとすればそれはゆゆしき事態だ。いやしかしそんなに中途半端な解決をゲームをするプレイヤーが許すだろうか?
(よし!)
 ミモザは帰ったら記憶を思い出しやすくするおまじないを試すことに決めた。チロはそんなミモザの思考を見透かしてやれやれと首を横に振る。
「ところで彼女達はなぜここにいるのですか?」
 報告が一区切りついたところで、レオンハルトは王国騎士団の美女とジーンと呼ばれていた爽やか少年を目線で示して訊ねた。
「そんな邪魔そうに言わないでよ。要件があって来たに決まってるでしょ?」
 美女は口紅の塗られた唇を吊り上げて笑う。そしてちらりとミモザのことを見た。
「そうね。初対面の子もいるから自己紹介からしようかしら。わたくしはフレイヤ・レイアード。由緒あるレイアード伯爵家の長女にして、王国騎士団団長よ」
「僕はその弟子のジーン・ダンゼルと申します。以後お見知りおきを」
 そこまで言って2人してミモザのことをじっと見つめてくる。その視線にはっとしてミモザは慌てて「レオンハルト様の弟子のミモザと申します」と頭を下げた。
 試練の塔を終え御前試合にて成績を残し晴れて精霊騎士となった者マカ と はの進む道は、一般的に2つに別れる。
王国騎士団に行くか、教会騎士団に行くか、である。
王国騎士団はその名の通り国に仕える騎士であり、教会騎士団も同様に教会に所属する騎士のことである。そしてどちらに行くのかの境目は出自だ。貴族は王国騎士団へ、平民は教会騎士団へと入る。稀に貴族にも関わらず教会騎士団へ入る者もいるが逆はない。つまり目の前にいる2人は確実に貴族であった。
 ミモザはすすっとさりげなくレオンハルトの背後へと移動する。田舎では貴族になどまず出会わないが、それでも無礼を働けばどのような目にあうかの見当くらいはつく。
 フレイヤはそれをどう思ったのか「あら可愛い」と微笑んだ。
「心配しなくても酷くしたりしないわよ。伯爵位を持つ聖騎士様の弟子に軽々しい真似はできないもの」
(伯爵位持ってたのか)
 今さらのことを知って驚く。我が事ながら自分の師に対しての知識が浅すぎる。言い訳をさせてもらえればレオンハルトは自分のことを話したがらない人であるし、これまで特に知らなくても困らなかったからだと言っておく。爵位を持っているのは知っていたが、そんなに上の方の位だとは思っていなかった。
 ちらりとレオンハルトを見上げると、彼は肩をすくめて見せた。
「最初は男爵位だったんだがな。授与される前に間が空いてしまってその間にもいろいろと功績が増えていったんだ。その結果なんのクロム位にするか貴族達の間で意見が割れてな。色々と面倒になっていらないと言ったら吊り上げ交渉と誤解されて伯爵位になってしまった」
「はー…」
 ミモザのような一般庶民にはなんとも理解が追いつかない話である。まぁ、貴族としてもレオンハルトと友好関係を築きたかったのだろう。
 レオンハルトはいつも白い教会騎士団の制服を着ている。一般的に聖騎士はどちらの騎士団にも属さない独立した存在のはずだが、元々が平民ということもあり教会騎士団との方が距離が近いのだろう。この世界の教会は宗教団体ではあるが政治的には市民の代弁者の役目も担っている。そのための教会騎士団であり抑止力として国もその存在を許容しているのだ。しかし貴族にとっては忌々しい存在だろう。最強の騎士が教会、ひいては平民寄りというのもよろしく思っていないに違いない。それを少しでも貴族側に引き寄せるために爵位を与えたとするのならばそのような高い待遇も理解できるような気がする。
(まぁ、難しいことはわからないけど)
 今のミモザにとって大事なのは、とりあえずフレイヤに軽々しく扱われる心配は低いということである。全力でレオンハルトの威を借りているが、社会的地位に関してはどうしようもない。
「今日わたくし達が来たのはね、『試練の塔被害者遺族の会』についての相談よ」
 その言葉を聞いてレオンハルトとガブリエルにぴりっと緊張が走った。
dhaゴーヤ チャンプルーアントシアニンの効果クロム

 その後は仕事亜鉛 サプリ おすすめ

 その後は仕事の話になり、ミモザはレオンハルトとアズレンの会話を聞くのみであった。亜鉛 サプリ おすすめ話題にクロムの効能はやはり野良精霊の異常増殖と狂化の件がのぼったが、現在は小康状態であり以前の同時多発などは起きていないが継続はしていること、原因は相変わらず不明であること、そして人為的に引き起こされ亜鉛ていることは状況証拠的にほぼ確定であることがやり取りの中で明かされた。
 最後に「では期待しているぞ!我が国の最強の精霊騎士よ!!」というアズレンの激励を受けて挨拶は終わった。
 そうしてマッスル王子との面会をなんとか無事に終えたレオンハルトとミモザだったが、その2人の間には今、
「……えっと、お食事でもお待ちしましょうか?」
「いやいい」
 微妙な空気が流れていた。
 原因は明白クロムの効能だ。
(好みのタイプ聞かれてとっさにレオン様の名前出しちゃったからなぁ)
 ミモザはぼんやりと斜め上方を見やる。シャンデリアが眩しい。
 レオンハルトの性格的に、あのような場であのような名前の出され方はきっと不愉快だったことだろう。王子の発言からするともしかしたらミモザがエスメラルダと話している間、彼は不機嫌な表情を浮かべていたのかも知れない。
(不機嫌な顔の何が面白いのかはわからないけど…)
 謝罪しなければ、と思いつつもどうにもタイミングが掴めず気まずい沈黙が流れていた。いっそのこと一発殴ってくれたほうが謝りやすいまである。
「えゴーヤえっと、」
「君は」
 そこでやっとレオンハルトは重い口を開いた。ミモザは開きかけた口を閉ざして彼を見上げる。レオンハルトはミモザのことは見ずに、手にしたグラスを眺めていた。
「先ほどの発言だが」
「す、すみませんでした!」
 思わず土下座する勢いで謝る。
「ええと、とっさに思い浮かんだ男性がですね!レオン様で!つい!」
「……そうか」
 恐る恐る見上げる。彼は非常に微妙そうな顔でこちらを見ると、はぁ、と一つため息をついた。
「君のことだから、そんなことだろうとは思ったよ」
「は、はぁ、えっと、次からは同じようなことを聞かれたら、えっと、別の誰かの名前を……」
「それはやめろ」
 強い口調に身をすくめる。ちらりと彼を見るとその目は据わっていた。
「それは、やめなさい」
「……はい」
「俺でいい」
 ふい、とまた顔ごと亜鉛背けてレオンハルトはグラスを見つめる。
「そういう時に出す名は、俺でいい」
「……わかりました」
 本当はよくわかっていないがわかったふりをしておく。レオンハルトは「それでいい」と頷いたのできっとそれでいいのだろう。またしばらくの間が空き、どうしようかなぁとミモザがもぞもぞ身じろぎをし始めたあたりで、
「あー、君は」
 再び気まずそうにレオンハルトが口を開いた。
「はい?」
「ああいうのが好みなのか?」
「好み?」
 見つめ合う。先に目を逸らしたのはやはりレオンハルトだった。彼ははぁ、とため息を吐く。
「もういい。少し鷹を撃ちに行ってくる」
「鷹?」
「手洗いだ」
「あー……」
 レオンハルトからグラスを受け取りその後ろ姿を見送る。いつもよりその背筋が若干しょんぼりして見えるのはミモザの気のせいだろうか。ふと途中でレオンハルトは何かを思いついたように足を止め振り返ると「筋肉とか胸とかの餌をぶら下げられてもフラフラついて行くなよ」と念を押した。
「………はい」
 極めて遺憾である。

「ね亜鉛 の サプリぇ、あなた」
 レオンハルトがお手洗いに立って少しした頃に彼女は訪れた。
(僕のことを睨んでいた……)
 ピンクブロンドの髪に緑の瞳をした令嬢、アイリーンである。彼女はにっこりと笑顔でミモザに話しかけてきた。
「レオンハルト様からあなたを呼んでくるようにと言われたのだけれど、一緒に来ていただけるかしら?」
(嘘だな)
 とはすぐにわかったが、ここで平民のミモザが伯爵令嬢を無下に扱うわけにもいかないだろう。それに彼女の思惑も気になるところである。
「わかりました」
 ちょっとレオンハルトに言われた「フラフラついて行くなよ」が脳裏をよぎったが、別に餌をぶら下げられたわけじゃないからいいだろうとミモザは1人がてんして、彼女の誘いに応じることに決めた。
クロムの効能マカ と はゴーヤ

「ミモザ?何をやっゴーヤ

「ミモザ?何をやっているの?」
 扉を開いて広がっサプリメント マカdha epaた光景にステラは絶句した。
 部屋の中の棚という棚は開けられ、中に入っていた物はすべて引き出されている。
 その荒れ果てた部屋の中心にはミモザの姿。
「それ、わたしの……」
「………っ」
 ミモザは手に握ってアントシアニンいたネックレスを乱暴に地面へ投げ捨てた。そのまま開いていた窓から外へと飛び出す。
「ミモザ……っ!!」
 ステラが窓を覗き込んだ時にはもう、ミモザの逃げ去る後ろ姿は小さくなっていた。
「あいつ、泥棒かよ……」
 後から部屋に入ってきたアベルがぼやく。
「あの子ったら、魔導石だけじゃなくて他のものまで盗もうと……」
「通報するかい?」
 マシューが尋ねゴーヤてくるのに、ステラ首を横に振った。
「いいえ、あの子はわたしの可愛い妹だもの」
 その頬には一筋の涙が伝っていた。

「……ううう、窃盗罪」
 最悪な目覚めである。チロは窃盗罪くらいなんだ、と鼻を鳴らして見せた。
「あー……」
 以前ゲームの『ミモザ』の悪行を思い返した時、魔導石を奪ったり、塔に入ろうとするのをいちゃもんをつけて妨害したりは思い出せたが、どうやら普通に他の物も漁っていたようだ。
「泥棒キャラなんだろうか」
 何にせよ最悪な目覚め、最悪なスタートである。
 そう、スタート。
 初めてレオンハdhaルトに出会ってから、3年の月日が経過していた。
 結局あれからミモザは王都と家を行ったり来たりする生活を送っていた。1ヶ月を村で過ごし次の1ヶ月は王都、また1ヶ月は村、といった具合である。たまに突発的に呼ばれて王都に行くこともあったため、心理的な距離感はもはや第二の実家のように思い始めている。
 途中、13歳になって以降、レオンハルトから『さっさと塔の攻略してこいオーラ』を感じていたが、ゲームとストーリーがズレることを恐れてずっと適当な理由をつけてスルーしていた。
 それに何より、ステラから聖騎士の座を奪うために同じタイミングで王都の御前試合に挑みたかったのだ。ミモザが先回りして奪ってやってもいいが、やはり正面から堂々と、同じ立場でやり合って勝利してマカやりたいのだ。
(まぁ、僕の気持ちの問題だけど)
 そして本日、学校の卒業試合からこのゲームは開始する。
 ステラは勝利という栄光から、そしてミモザは敗北という屈辱からこの物語は始まるのだ。
 ふぅ、と深く息を吸って吐く。
「とりあえず、勝率を上げるおまじないを……」
 ミモザはもそもそと布団から這い出た。

(……ついに来てしまった)
 ミモザの前にはもはや懐かしい学校の校舎がある。
 恐れているのか、それとも期待に胸を膨らませているのか、もはやミモザにもわからない。ただ興奮していることだけはわかる。
 泣いても笑っても、一回だけの卒業試合だ。
(ここで勝つ。運命を変える)
 無論最終目標は聖騎士だ。王都での決闘での勝利である。しかしここで勝てれば、それだけでゲームのストーリーからは外れることができるという証明になるのだ。それは何にも変えがたい自信をミモザに与えてくれるだろう。
 ゆゴーヤっくりと歩いて校庭へと入る。もう試合会場には生徒が集まっていた。開始時間ぎりぎりを狙ってきたかいがあり、ミモザの到着は最後の方のようだ。
 でかでかと掲示板に張り出された対戦表を見る。ゲームの展開からしてそうだろうとは思っていたが、トーナメント方式のそれの1番下にミモザとステラの名前は並んで書かれていた。
 つまり、初戦でステラと戦うのである。
(まぁ、そりゃそうか)
 ミモザは『落ちこぼれキャラ』である。決勝戦まで勝ち進んで負ける、などという華々しい戦歴は与えてくれないだろう。
 つまりゲームのミモザは初戦敗退、そしてステラは優勝で卒業したということだ。
「なんか僕がグレたのは必然な気がしてきた」
「チチッ」
 肩を落とすミモザに、今日は相手をぶち殺すつもりで行くぞ、とチロが発破をかける。
「何が必然なの?」
 その時、鈴の音を転がすような声がした。弾かれたように振り返る。
「……お姉ちゃん」
「もう、ミモザったら、お寝坊さんなんだから。一緒に行こうって言ったのに!」
 そこには頬を膨らませて可愛マカ サプリらしく怒るステラがいた。
 長いハニーブロンドは試合のためか、編み込んで落ちてこないように結い上げている。服装もいつもの可愛らしいひらひらとしたワンピースではなくレースやフリルは付いているもののパンツスタイルになっていた。騎士服を模したようなジャケットも羽織っており、可愛らしさと凛々しさの混在した絶妙なバランスの服装だ。
(ゲームと同じ服装……)
「ミモザ?」
 訝しむような声にミモザはハッと我に返る。
「どうしたの?具合が悪い?なら今すぐ先生を呼んで……」
「だ、大丈夫だよ、お姉ちゃん!ちょっと緊張してただけ!」
 慌てて手と首を振って否定する。ステラはまだ少し疑わしそうにしていたが、「少しでも具合が悪かったら我慢しちゃダメよ」と釘を刺すに留めてくれた。
「ミモザは本当に危なっかしいんだから!1人にしておけないわ!」
「え、へへへ……」
 とりあえず笑って誤魔化すミモザである。ふと、姉の後ろに見知った姿を見つけて顔をしかめた。
「……アベル」
「あ!そうなの!アベル!ほら、こっち!」
 ステラが何もわかっていないような態度でアベルのことを呼ぶ。その場から立ち去るタイミングを逃し、ミモザはアベルと対峙するはめになってしまった。
「ミモザがお寝坊さんだからアベルと一緒にいたのよ」
 亜鉛の効果久しぶりの再会に、アベルは神妙な顔をしていた。そして緊張した面持ちで「ミモザ、俺」と口を開く。
「謝らないで」
 それにミモザは機先を制した。その言葉にアベルが何かを勘違いしたかのようにほっと息を吐くことに、ミモザは眉を寄せる。
「アベル、僕はね、貴方の自己陶酔に付き合う気はないの」
 アベルは息を呑む。ミモザは無視してまくしたてた。
「僕は貴方を許さない。だから謝らないで、勝手に肩の荷を下さないで、すべて終わって過去のことのように振る舞わないで、一生自分のやったことを忘れないで」
 手と声が震える。強くなったはずなのに、あの頃とは違うはずなのに、今だに身体が恐怖を覚えている。そのことが許せなくて、ミモザは手のひらをぐっと握りしめて無理矢理震えを止めると、アベルのことを強く睨んだ。
「僕は貴方を許さない」
「……どうすれば、許してくれる」
 ミモザの話を聞いていなかったかのような切り返しに苛立つ。何をしても許さない、と言おうとして思い直す。
「僕と同じ目に合えば」
 アベルが驚いたような顔でこちらを見た。その瞳をじっと見つめ返してミモザは続ける。
「毎日毎日罵倒されて、暴力を振るわれて、これが一生続くんじゃないかって絶望してよ」
 アベルの瞳に映る感情はなんだろうか?興奮状態のミモザにはわからない。
「できるものならやって見せてよ」
「………っ」
 アベルが目をそらして俯いた。その傷ついたような態度に余計に腹が立ったが、いままでとは違い目を逸らしたのがミモザではなくアベルdhaであったことに多少の溜飲が下がる。
 以前までは、傷ついて俯くのはミモザだった。
(もう今までの僕じゃない)
 強くなった。強くなったのだ。
(アベルのことなんて、いつでも殺せる)
 何度夢見たことか。自分の手でその顔を殴り、黙らせることを。それはもはや夢ではないのだ。やろうと思えばやれる。今のミモザならば。
(やらないけど!)
 ふんっ、とミモザはアベルのことを鼻で笑ってやった。アベルのような『低次元な』レベルに合わせた行為をやり返すつもりはなかった。 
「もう!ミモザ!どうしてそんな意地悪なことを言うの?」
 そこに空気の読めない声がする。ミモザは半ば嫌々そちらを向いた。
「お姉ちゃん……」
「アベルはちゃんと反省してるんだから……」
「ステラっ!」
 しかしその声を止めたのはアベルだった。彼は青白い顔で、しかしきっぱりと言う。
「いいんだ。俺が悪い。ミモザの言うことは正しい」
「アベル……」
 ステラは瞳を潤ませて彼を見た。
(なんだこの空気……)
 呆然と立つミモザに、チロはその肩をとんとん、と叩いて注目を促すと親指でくいっと校庭の中心あたりを指さした。
 その目は、こいつらもう放っておいてあっち行こうぜ、と言っている。
 ミモザはそれに無言でこくりと頷き、ゆっくり、ゆっくりと後退りをしてその場からいなくなろうとしてー…、
「ミモザっ!」
 失敗した。ステラはミモザのことを真っ直ぐに見つめてくる。
 猛烈に嫌な予感がした。
「この試合でわたしが勝ったら、アベルと仲直りしてちょうだい!」
 予感は的中した。
ゴーヤ チャンプルーアントシアニンの効果アントシアニンの効果亜鉛の効果

 若い娘が楽ゴーヤ

 若い娘が楽マカしそうにはしゃぐきゃっきゃっと明るい声が響く。
 そこは王都のメインスゴーヤトリートに面した雑貨屋だった。生活や冒険に必要な物資やそれとは別に装飾品や化粧品なども売っていたりする店だ。店は若い娘も入りやすいような清潔でおしゃれな内亜鉛 サプリ装をしていた。
「ねぇ、見て! これ可愛い!」
 ステラは黄色い石のついたネックレスを手に取る。
「これ、こんなに可愛いのに魔道具なんですって。えっと、幻術を見せる魔道具……?」
 ネックレスにつけられたタグの内容を読んだ後、彼女は自分の胸元にそれを当ててみせた。
 にっこりと花のように微笑む。
「どうかしら?」
「よく似合ってるよ」
 言ったのはマシューだ。彼は微笑ましいも亜鉛 サプリ おすすめのを見るように目を細めている。
 その時スッと一人の青年が前に進み出てそのネックレスを奪うとお会計のレジへと無言で持っていった。
「ジーンくん!」
 驚くステラに、彼は振り返ると照れくさそうに笑った。
「よければプレゼントしますよ」
「えっと、でもそんなの悪いわ」
 遠慮するステラに彼は微笑むとたった今購入したネックレスをステラの首へと持っていった。
「どうか受け取ってください。僕のためだと思って」
 そうしてネックレスをつけてあげようとして、
「あ、あれ……?」
 金具の外し方がわからず四苦八苦アントシアニンする。
 それにステラはくすりと笑うと「貸して」とネックレスを受け取って金具を外した。
「え、えーと、すみません、慣れてなくて……」
「ねぇ、ジーンくん、つけてくれる?」
 ここの金具をこうするのよ、と実際に実演してみせてからステラはネックレスをジーンに渡した。
「ね、お願い」
 そして、ん、と首を差し出す。
「……では」
 それにジーンは多少照れたように頬を紅潮させながらも真剣な顔を作って今度こそネックレスをつけた。
「ありがとう」
 ステラが微笑む。
 サファイアの瞳が喜びにうるんで美しかった。
「…………」
 アベルはその様子を少し離れた位置で眺めていた。その表情は場所にそぐわず険しい。
「アベル!」
 そんな彼の様子に気がついたのか、ステラは駆け寄るとネッゴーヤ チャンプルークレスを見せる。
「どう?似合ってる?」
「……ああ、おまえはなんでも似合うよ」
 その気のない声にステラは頬を膨らます。
「もう、アベルったら変よ」
「……そうかもな」
「あ、そうだ!」
 ステラは何かを思いついたように自身のバックを漁ると何かを取り出して差し出す。
「元気のないアベルには美味しいものをあげるわ! ほら、あーん」
 そう言って彼の口もとに押し付けられたのは、飴だった。可愛らしいピンク色の、ハートの形をした飴だ。
 彼はその飴を見てわずかに躊躇したが、結局は口を開く。
「美味しい?」
「………ああ」
 アベルは忌々しげにその飴をがりっと口内で噛み砕いた。

 ミモザはのんびりと夕方の王都を散策していた。『黒い密売人』との交戦が決まってしまったため、どのように戦おうかと作戦を練っていたのである。
 はっきり言って本物の犯罪者と戦うのは保護研究会のロランという老人以来となる。しかもあの時はレオンハルトが駆けゴーヤつけるのが前提の上、ジーンもいるという状況だった。その上ロランはそこまで好戦意欲の高い人物ではなく、かなりの時間を戦わずに潰すことが出来たが、今回はそうはいかないだろう。
(遭遇した時点で戦闘になるかな)
 まだ相手がミモザのことをステラと誤認している状況のうちに不意打ちで倒せればいいが、それをしくじった場合の対処も考えておかねばならない。
 レオンハルトはああ言ったが、信号灯を灯した時点で相手は逃げる可能性は高いし、今回仕留め損なえば次はミモザの前には姿を現さないだろう。
(一回しか騙されてくれないだろうしなぁ)
 さすがに二回もステラとミモザを間違えさせるのは無理だろう。なんなら合言葉なりなんなりの対策を取られてより姿を捕捉しづらくなるかも知れない。
(一回でけりをつけたいよなぁ……)
 ふぅ、と息を吐く。相手はミモザよりも対人戦闘に慣れている可能性が高い。準備はし過ぎるほどにしたほうが良かった。
(………ん?)
 視線を感じる。
 王都はミモザ達の故郷より遥かに人が多い。しかしそれに比例するように人の動向に無関心でもあった。このように見つめられるのはレオンハルトと共に行動ポリ ペプチドしている時以外では初めてだ。
 その視線の主が背後から近づいてくる気配を察して、ミモザは警戒しつつゆっくりと振り向いた。
「………よぉ」
「……アベル?」
 そこにはアベルが立っていた。
 藍色の髪に金色の瞳。歳を経るごとにレオンハルトに近づきつつあるその外見は、もしかしたら父親似なのかも知れなかった。
 ミモザは彼のことを疑うようにじーと見る。
「なんだよ」
 その視線にアベルは居心地悪そうにミモザのことを睨んだ。
「いや、脳みそパーになってないかなって」
「なってねぇよ」
 その返答にミモザはあれ? と目を見張る。
「なんで?」
「俺が聞きてぇよ」
 そこまで聞いてミモザは思う。この会話は意味不明だ。やり取りとして成立していない。
 大前提として『あの飴』の存在を知らなければ。
「ラブドロップ」
 ミモザは切り込んだ。
「食べてないの?」
「食ったよ」
「ーーなら、」
「だから知らねぇよ!」
 憤懣やるかたないという様子でアベルは怒鳴る。彼の精神はもうギリギリだったのかも知れない。その様子はふちのふちまで表面張力ぎりぎりで水を注がれたコップのように、感情が決壊して流れ出したようだった。
「俺が、元からステラに惚れてるからじゃねぇの? 惚れ薬飲んでもなんにもかわらねぇってことはよ」
 悔しげに、苦しげに彼は声を絞り出した。
「いっそのこと、脳みそパーマカ と はになりたかったよ、俺だって」
 二人の間に沈黙が落ちた。ここでするような会話じゃないなとミモザは思ったが、だからと言ってじゃあどこなら相応しいのかもわからない。
 こんなどうしようもなくやるせない話をするのに相応しい場所など、もしかしたらこの世には存在しないのかも知れなかった。
「なぁ、ミモザ、お前もあの飴のこと知ってんのな」
「まぁ……」
「ーーってことは兄貴も知ってるよな、はは……」
「………」
「お前言ったよな、ステラの敵だって」
「うん」
「……っ! なんでそんなに割り切れんだよ……っ!!」
 耐えきれないというようにアベルは顔を歪めて叫ぶ。
「確かにあいつは間違ってる。悪いことをした。あいつおかしいよ、言ってもわからねぇんだ、わかってくれねぇんだよ、俺じゃ、あいつを止められねぇんだ」
 そして力無く俯く。拳を握っても振り上げることも出来ず、アベルは首を振る。
「けどさ、だからといってすぐに嫌いになんてなれねぇんだよ。今までのこと全部なかったことに出来ねぇんだよ。ずっとガキの頃から一緒にいるんだ。あいつは優しかった、優秀だった、格好良かった、それも全部本当なんだよ! なかったことにはならねぇんだよ!」
 そこまで言って、アベルは興奮に激しくなった呼吸を整えるように黙り込んだ。そして言う。
「なんでそんなに割り切れんだよ……」
 それは疑問ではなく批難の言葉だ。自分一人だけ楽な場所にいるミモザを責める言葉だ。
「……割り切れないよ」
 ミモザにはどうしようもない。アベルの苦しみはアベルが自らゴーヤ チャンプルーの意思で選び取った結果だからだ。
 そして同時にミモザの良心の呵責もまた、ミモザが選び取った結果だ。
「でも、割り切るって決めたんだよ。……僕が、僕であるために」
 のろのろとアベルは顔を上げた。その顔は先ほどまで興奮していたはずなのに血の気が引いて真っ白だ。
「そうかよ……」
「アベル、どうするつもり?」
 ミモザはアベルが嫌いだ。けれどもしもステラの罪を告発して保護を求めるならどこかその辺の騎士に口聞きをしてやっても構わない。
 そうすることで、きっとステラは色々なことを思い留まるかも知れない。
「……俺はあいつを見捨てられねぇ」
 しかしアベルは首を振った。
「どんな罪を犯しても、最低でも、最悪でも、あいつが悲しんだり酷い目にあったり、一人っきりで泣かせる気にはなれねぇんだ」
 ミモザのことを睨む。その目には先ほどにはなかった強い意志が宿っていた。
 痛みを覚悟した意志だ。
「説得は続ける。けど、あいつが犯した罪を、あいつ一人に背負わせることは俺にはできねぇ。……ミモザ、俺は」
 アベルはしっかりと自分の両足で立ち、姿勢を正した。金色の瞳に炎が灯る。
「どこまでもステラの味方だ。そう決めた」
「……そう」
 ミモザにはそれを止めることは出来ないだろう。それだけは理解できた。
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